旧車バイクのレストアで塗装はどこまで手を入れるべきか?価値と美学のバランスを考える

中古車

45年前のヴィンテージバイクを手に入れたとき、レストア方針をどう定めるかは悩ましいところです。フルレストアしてピカピカにするべきか、それとも当時の雰囲気を残して磨き程度にとどめるか。この選択は、将来的な資産価値や所有満足度にも影響します。この記事では、旧車バイクの塗装を含むレストア方針について、実例を交えて解説します。

フルリペイントのメリットと注意点

レストアでフレームやエンジンを塗り直すことで、見た目はまるで新車のように蘇ります。再塗装されたフレームは防錆効果も高まり、長期保管にも有利です。ピカピカのエンジンは展示会などでも見栄えがし、カスタムショーなどにも映える仕様になります。

しかしながら、あまりに“新車風”に仕上げると、オリジナル度が損なわれ、旧車マニアからの評価は分かれることもあります。特に販売時には、「リペイント済」として再塗装の痕跡がある車両は、オリジナル塗装にこだわる層には敬遠されがちです。

やれた雰囲気を残す「オリジナル尊重型レストア」

もうひとつのアプローチが、“やれた美しさ”を活かす手法です。外装のオリジナル塗装をそのまま残し、フレームやエンジン周りも最低限の補修にとどめることで、当時の雰囲気を保ちつつ、機能回復を図るスタイルです。

たとえば、ホンダCB750KやヤマハXS650などは、外装が当時の塗装のまま保たれている個体のほうが市場で高値が付くこともあります。塗装に小傷やくすみがあっても、それが「本物」の証となる場合があるのです。

中間的な「部分レストア」も選択肢

完全な再塗装も、完全ノータッチも選ばず、「部分レストア」という選択もあります。フレームや足回りなど腐食が進行しやすい部分だけは再塗装し、外装のタンクやカウルなどは磨きのみで仕上げる方法です。

これにより、耐久性の強化とオリジナル性の維持のバランスを取りつつ、将来的な価値も一定程度キープできます。たとえば、エンジンは塗装せず、アルミ地をポリッシュだけで仕上げるのも定番手法です。

将来的な売却価値を考えたときの判断材料

将来の売却を見据えるなら、「オリジナル性の高さ」が評価される傾向にあります。完全オリジナルの状態が残る車両は、たとえ多少のヤレや経年変化があっても、プレミア価格がつくことが少なくありません。

とはいえ、動かない車両や見た目があまりにも劣化している場合は、ある程度の補修はプラスに働くこともあります。要は「やりすぎないこと」が鍵です。特に純正部品の有無や、当時の塗装の残存度などを確認してから、どの程度手を加えるかを決めるのが良いでしょう。

実際のオーナー事例

例として、1978年式のKawasaki Z1-Rをレストアしたオーナーは、外装はそのままの純正塗装を活かし、フレームとエンジンはウレタン塗装で再仕上げ。結果として、「当時感のある綺麗な車両」としてマニアから高い評価を得ました。

一方で、すべてをオリジナルに戻そうと再塗装・パーツリペアを重ねたオーナーは、「綺麗すぎて違和感がある」と言われ、結局再販時には希望価格を下回ったという事例もあります。

まとめ

旧車バイクのレストアでは、塗装の程度をどうするかは価値と美観のバランス次第です。将来的な売却を視野に入れるなら、オリジナルの外装塗装はなるべく残しつつ、フレームや機関部は必要最小限の補修が理想です。「新品のような綺麗さ」よりも、「当時を感じさせるリアルさ」が、今の旧車市場では求められています。

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