バイクのタンデム(二人乗り)走行はライディングの楽しみのひとつですが、走行中の同乗者の行動にも注意が必要です。特に「後ろの人が手を上げると違反になるのか?」という疑問は、意外と多くのライダーが持っています。この記事では、その行動が法律上どう評価されるか、安全面ではどうなのかを詳しく解説します。
道路交通法で定められた「乗車方法」の基本
まず確認しておきたいのが、道路交通法第70条「運転者の遵守事項」や、同法第55条「乗車又は積載の方法等」です。ここでは「乗車装置に正しく乗ること」「乗車中はバランスを崩すような行為をしないこと」などが定められています。
つまり、走行中に後部座席の同乗者が過度に身体を動かす、片手または両手を上げてバランスを崩すような行為は、運転者の運転操作に支障を及ぼす可能性があるとして、取り締まりの対象となることがあります。
実際に「捕まる」ケースがあるのか?
警察がタンデム走行中の「手を上げる」行為だけで直ちに取り締まる可能性は高くありませんが、周囲の交通に不安を与えるような態度や、安全運転義務違反と判断される行動がある場合には、「危険運転」として警告や指導、最悪の場合は検挙されることもあります。
例えば、高速道路で手放しで手を振っていたり、バランスを崩してフラついたりすれば「整備不良」や「乗車方法違反」として罰則対象になる可能性も否定できません。
安全の観点から見た「手を上げる」リスク
法的な問題以上に重要なのが、安全面です。走行中のバイクはバランスが非常に重要で、同乗者が動くことでバイクが揺れたり、ハンドル操作が不安定になったりすることがあります。
特にカーブや加減速中などは、重心の変化が直接バイクの挙動に影響するため、後部座席の人の動きは極力抑えるべきです。突然の手上げ行為が原因で転倒につながった事例も過去に報告されています。
実例:ちょっとしたふざけ行為が重大事故に
ある高校生カップルがバイクでタンデム中、後部座席の彼女が手を振っていたところ、風の抵抗で体勢を崩してバイクから転落。幸い命に別状はありませんでしたが、運転者は業務上過失傷害の疑いで取り調べを受けました。
このように、たった一つの軽率な行動が法的責任や重い結果を招くこともあるのです。
同乗者に守ってもらいたいマナーとルール
- 走行中は両手でしっかりグラブバーや運転者の腰に掴まる
- 無用な動きは控え、姿勢を保つ
- ヘルメット・グローブなど適切な装備を装着する
- 話しかけたりする場合は、運転者の注意をそらさないタイミングで
このような基本を守ることで、タンデム走行はより安全で快適なものになります。
まとめ:楽しむには「安全・法律・思いやり」が鍵
走行中に後部座席の人が手を上げる行為は、即座に違法とは言えませんが、安全運転義務や乗車方法違反に該当する恐れがあるため、慎重に行動するべきです。
タンデム走行は二人の信頼とルール意識があってこそ成り立つもの。楽しいバイクライフを送るためにも、同乗者も「運転に協力する」意識を持ち、安全第一を心がけましょう。
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