バイクでの長距離ツーリングや峠道の走行中、手のしびれや感覚の消失を経験したことがあるライダーも多いはず。特に防寒が不十分な状態で標高の高い場所を走行すると、体の末端は深刻な冷えに晒され、思わぬ健康リスクを招くことがあります。
手のしびれはなぜ起きる?その原因とは
バイク走行中に指先がしびれる大きな原因のひとつが、寒さによる血流の低下です。特に薄手のグローブやサイズの合わない手袋を装着していると、指先が外気に直接さらされてしまい、体温が奪われてしまいます。
また、手の締めつけが強すぎるグローブも血流を妨げる原因となり、神経圧迫と相まってしびれや感覚の消失につながります。標高が高いと気温は低下しやすく、5〜10分で手の温度が急激に下がることもあります。
しびれが続くと危険?凍傷や壊死の可能性
手の感覚が完全に失われ、長時間にわたり冷気に晒され続けると、凍傷(とうしょう)や重度の血行障害を引き起こす可能性があります。凍傷の初期症状には赤みやしびれ、痛みがあり、進行すると組織が壊死に至るケースも。
特に外気温が0℃前後、走行速度が60km/hを超える環境下では、体感温度はマイナス10℃を下回ることもあり、注意が必要です。
もしも壊死になったら?進行のメカニズム
壊死は血流が極端に悪くなり、細胞が酸素と栄養を得られなくなることで発生します。冷えや圧迫で毛細血管が収縮し、指先など末端の血流が止まることで壊死リスクが高まります。
数時間に及ぶしびれや痛みの放置は、組織損傷や壊死の前段階である可能性があるため、回復の兆しがない場合は直ちに医療機関を受診すべきです。
防寒対策が命を守る!実践すべき装備の選び方
冬季や高地でのバイク走行時には、防寒対策が必須です。まずは適切なサイズの防寒グローブを着用しましょう。コミネやゴールドウインなどのライダー専用の冬用グローブは、保温性と通気性を両立しています。
さらに、グリップヒーターやハンドルカバーの併用で体感温度は大きく改善されます。また、インナーグローブを併用することで保温層が増し、冷気を効果的に遮断できます。
実例:休憩と温めで回復できたケース
あるライダーは、標高1000m超の道を1時間以上走行中、手がほぼ感覚を失いそうになったといいます。途中で安全な場所に停車し、エンジン熱を利用して手を温めたことでしびれが徐々に回復したとのこと。
このように、早期の対応と休憩が回復の鍵となります。無理をせず、少しでも異常を感じたら即座に停車し、温めるようにしましょう。
まとめ:しびれや冷えは見逃さず、適切な装備と対応を
バイク走行中の手のしびれや感覚異常は、一時的な症状に見えても放置すれば凍傷や壊死など重大なリスクを招く恐れがあります。特に寒冷地では、事前の準備と防寒対策、異常時の迅速な対応が命を守るカギとなります。安全で快適なツーリングのために、装備を見直し、体の声に耳を傾ける習慣をつけましょう。
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