カワサキZ1のTMR36キャブレターは、その優れた性能で多くのライダーに愛されていますが、セッティングの調整には細かい知識と経験が必要です。この記事では、TMR36キャブレターのセッティング方法について、一般的な問題とその対処法を詳しく解説します。特に、カワサキZ1の930ccボアアップエンジンにおけるセッティングのコツを紹介します。
TMR36キャブレターの基本的なセッティング要素
TMR36キャブレターは、パフォーマンス重視のバイクにおいて非常に人気のあるキャブレターです。セッティングの際には、主にジェット類、ニードルの位置、エアスクリューの調整が重要になります。以下は基本的なセッティング要素の紹介です。
メインジェット(MJ): エンジンが高回転になる際に必要な燃料量を調整します。一般的には、車両の仕様に応じてMJを変更しますが、適切なサイズの選定は重要です。
スロージェット(SJ): 低回転時に関わる部分で、アクセル開度が小さい時の燃料供給を調整します。
カワサキZ1のセッティングにおける一般的な問題と対処法
質問者のように、TMR36キャブレターで「上が回りにくい」や「息継ぎが発生する」といった問題はよくあります。これらの問題は、ジェット類のサイズ、クリップ位置、ニードルの状態、またはキャブレターの組み立て状態によって引き起こされることがあります。
1. 息継ぎ問題: 息継ぎが発生する場合、ジェットのサイズやニードルの位置が適切でない可能性があります。クリップ位置を4段目にしても解消されない場合は、主にMJかSJのサイズを見直すことが有効です。
2. 上が回りにくい: エンジンが高回転でスムーズに回らない場合、エア・フューエル比が合っていない可能性があります。特に、TMR36キャブレターのニードルの位置やPAJ(プレミアムエアジェット)を調整することで改善されることがあります。
セッティングの調整方法と実例
上記の問題を解決するためには、セッティングを微調整する必要があります。例えば、メインジェットのサイズを大きくしたり、スロージェットを変更することで、特定の回転域での問題が解消されることがあります。
ジェットの選定: MJを155から少し小さくする、またはSJを27.5から30に変更してみることが効果的です。ニードルのクリップ位置を微調整することも重要で、問題のある回転域での燃料供給を見直すことで、エンジンがスムーズに回るようになります。
ニードルの調整: ニードルの位置を4段目から3段目に変更すると、上回転域のレスポンスが改善される場合があります。特に、NJN 10EO1-52のようなニードルでは、調整により効果が得られることが多いです。
TMR36キャブレターの持病とその対策
TMR36キャブレターには、冷間時の始動が難しい、エンジンがかかりにくいといった「持病」が存在します。この問題は、特にキャブレターのバキュームの問題や、ジェット類が適切でない場合に起こりやすいです。
バックファイア: チョークを引いてもエンジンがかかりにくい場合、エアスクリューやスロージェットのサイズが適切でないことが考えられます。エアスクリューの調整を行うと、冷間時の始動性が改善されることがあります。
冷間始動性: TMR36キャブレターの場合、冷間始動時にバックファイアが発生することがあります。これを改善するためには、チョークの操作やキャブレター内部の状態を再確認することが必要です。エアフィルターが詰まっていないか、キャブレター内部に異物がないかを確認しましょう。
まとめ
カワサキZ1のTMR36キャブレターのセッティングは、細かい調整が必要です。特に、エンジンの特性に合わせたジェット類やニードルの調整が非常に重要で、問題が発生した場合はジェットやニードルの変更を試みることが有効です。
また、TMR36キャブレター特有の問題、例えば冷間始動時のバックファイアやエンジンのかかりにくさについては、キャブレターの清掃やエアスクリュー、スロージェットの調整を行うことで改善されることが多いです。セッティングを適切に行うことで、エンジン性能を最大限に引き出すことができます。
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