バイクにクーリングファンを追加する際、電装系の設計ミスによってヒューズが切れたり、最悪の場合は配線の焼損などのトラブルにつながることがあります。この記事では、リレーハーネスを使用した際のヒューズ選定と設置位置の考え方を初心者向けにわかりやすく解説します。
リレーハーネスとは?役割を理解しよう
リレーハーネスとは、バッテリーから大電流を取り出すための配線にリレーをかませて制御できるようにする電装品です。スイッチ類や細い電装線への過負荷を防ぎ、安全に電力を流すために使われます。
例えば、20A対応のリレーハーネスであれば、最大で20アンペアの電流を制御できることを意味しています。ただし、使用する機器(ここではクーリングファン)の消費電流に合ったヒューズ設定が重要です。
5Aのヒューズでは足りない可能性もある
多くのクーリングファンは動作時に5A以上の電流を消費することがあります。仮に起動電流(突入電流)が6~8Aあった場合、5Aのヒューズでは電源ONの瞬間に切れてしまう恐れがあります。
適正なヒューズ容量は、使用するクーリングファンの定格電流の1.25倍程度が目安とされます。例えば、定格4Aのファンなら5A、定格6Aなら7.5Aか10Aのヒューズが適切です。
ヒューズの位置は2箇所に設けるのが基本
ヒューズは以下の2箇所に設けるのが望ましい構成です。
- ①バッテリーのプラス端子からリレーに入る前(主電源ライン)
- ②リレーからファンに向かう出力ライン(負荷保護)
①は回路全体の過電流を防ぐ「親ヒューズ」として、②はファンのみを保護する「子ヒューズ」として機能します。両方にヒューズを入れることで、トラブル発生時の被害を最小限に抑えられます。
ヒューズ容量はリレーと配線に合わせて選定を
リレーハーネスが20A仕様であっても、ヒューズは「使うファンの定格電流」に合わせる必要があります。仮に小さなファンであれば10Aのヒューズで十分です。
逆に20Aまで対応する大型ファンを使う場合、配線の太さ(AWGサイズ)やリレーの品質も含めて全体設計を見直す必要があります。メーカー仕様書や販売元の推奨電流値を確認することが重要です。
配線の太さと接点にも注意を
適正なヒューズを取り付けても、配線が細すぎたり、接点が緩かったりすると発熱して故障に繋がることがあります。一般に、10A以上の電流を扱うなら16AWG(1.25sq)以上の配線が推奨されます。
また、ギボシ端子の圧着不良や接点の腐食も電圧降下や発熱の原因となるため、設置時は丁寧な作業と自己融着テープなどでの防水処理を忘れずに行いましょう。
まとめ:ヒューズ選定と設置位置が電装安全のカギ
バイクにクーリングファンを取り付ける際には、5Aヒューズでは足りない可能性があるため、ファンの定格電流に応じた容量のヒューズを選び、最低でもバッテリー側とファン側の2箇所に設けるのが安全です。
ヒューズだけでなく、リレーや配線の太さ、接点の確実性もトータルで設計することが、電装トラブルの回避につながります。
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