飲酒運転の取り締まり時に「アルコール検知を拒否した方が得なのでは?」という疑問を抱く人がいます。しかし、実際には検知を拒否することで軽く済むどころか、かえって重い処分を受ける可能性があるため非常に危険です。本記事では、アルコール検知の拒否に関する法律、リスク、現実的な影響について詳しく解説します。
飲酒運転とアルコール検知拒否の違い
飲酒運転が確認された場合、呼気1リットル中のアルコール濃度や挙動、証言などから運転者の違反が立証されます。一方、検知拒否は飲酒の有無に関係なく、検査自体に協力しないという行為で、道路交通法第67条違反にあたります。
検知拒否はそれ自体が「3か月以下の懲役または50万円以下の罰金」の刑事罰であり、しかも前科が付く可能性もある重い違反です。
点数制度と検知拒否の誤解
一部で「アルコール検知拒否なら点数が引かれない」と誤認されていることがありますが、実際には違います。警察は検知拒否された場合でも、酒気帯びの疑いがある場合には他の証拠(挙動、におい、顔色など)で取り締まりを進めます。
つまり、検知拒否しても飲酒運転と認定されるリスクがあり、しかも「検知拒否」と「飲酒運転」の両方で罰を受ける可能性すらあるのです。
検知拒否の実例と厳しい対応
実際に、検知拒否をしたドライバーがその場で取り押さえられたり、映像や目撃証言などで立件されたりする事例もあります。特に最近はドライブレコーダーやスマートフォンの映像なども証拠として使われるため、「逃げ得」はほぼ成立しません。
また、警察に抵抗した場合、公務執行妨害罪や現行犯逮捕のリスクも生じます。状況によっては車を押収されたり、その場で手錠をかけられることもあります。
飲酒運転の点数・罰則の比較
違反内容 | 行政処分 | 刑事罰 |
---|---|---|
酒気帯び運転(0.15mg/L以上) | 13点・免停or免許取消 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
アルコール検知拒否 | ― | 3か月以下の懲役または50万円以下の罰金 |
酒酔い運転 | 35点・即免許取消 | 5年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
表からもわかる通り、検知拒否は軽い違反ではなく、飲酒運転と合わせて処罰されることが多いという現実があります。
逃げることで状況は悪化する
「車にしがみついてアルコールが抜けるまで待つ」というような行為は、取り締まりに対する妨害行為とみなされ、逃走、威力業務妨害、公務執行妨害など複数の罪に問われる可能性があります。
また、検知拒否の姿勢そのものが反省の色がないと判断され、裁判で量刑が重くなる要因にもなり得ます。
まとめ:検知拒否は絶対に得ではない
飲酒運転の罰則を回避するためにアルコール検知を拒否するという行為は、全く得策ではありません。かえって処分が重くなるリスクがある上、複数の罪に問われる可能性もあります。
万が一飲酒してしまった場合には運転しないこと、検問などでは正直に協力することが、最も安全かつ社会的責任ある行動です。安全運転を守ることが、自分と他人の命を守る第一歩です。
コメント