夏場に車のエアコンが効かないと非常に不快なだけでなく、体調不良の原因にもなりかねません。とくにL275S(ダイハツ ミラなど)に多く見られるエアコンのトラブルについて、考えられる原因と対処方法を実例を交えて解説します。
よくある症状:冷風が出ないのにコンプレッサーは動く
冷風が出ないのにコンプレッサーが作動しているという症状は、ガスが入っているだけでは解決できないことが多いです。特に「ジーッ」という異音がある場合、コンプレッサー内部での異常や、冷媒の流れを制御する部分に問題がある可能性があります。
一例として、筆者の所有していたL275Sでは、冷えが弱く「ジー音」がしていたため、点検した結果、エキスパンションバルブ(エキパン)の詰まりが原因でした。
考えられる原因①:エキスパンションバルブ(エキパン)の詰まり
エキスパンションバルブはエアコンガスを噴射して気化させる役割を担っており、詰まりが起こると冷却効率が一気に低下します。特に古い車両やメンテナンス歴の不明な個体では、内部の異物やオイルの劣化によりエキパンが目詰まりするケースが多く報告されています。
点検方法としては、ガス圧を測るだけでなく、エキパン付近に霜や冷却痕があるかどうかを確認するのが有効です。
考えられる原因②:コンプレッサーの劣化や異音
「ジーッ」という異音が常時聞こえる場合、コンプレッサー内部でベアリングが劣化していたり、クラッチ部分の摩耗による異常が考えられます。これにより、圧縮能力が低下し、冷媒が充分に循環しなくなります。
一時的に冷えるがすぐにぬるくなる、冷えが不安定などの症状がある場合、コンプレッサー交換を検討する必要があります。
考えられる原因③:エバポレーターの汚れ・詰まり
エバポレーターは冷媒が気化する際の熱交換器で、ホコリやカビが詰まると風量が低下し、効きが悪くなる原因になります。フィルターを交換しても改善しない場合は、エバポレーターの洗浄が必要かもしれません。
とくにL275Sのような軽自動車はエバポレーターへのアクセスがやや困難ですが、清掃剤のスプレーなどである程度の改善が期待できます。
エアコンオイルでの解決は難しい?
「エアコンオイルを補充すれば直るのでは?」と思う方もいますが、オイルはあくまで補助的な存在です。異音の原因が機械的摩耗であれば、オイルで一時的に静音化しても根本解決にはなりません。
逆に、過剰なオイル注入はガスの圧力バランスを崩し、かえって不具合を引き起こすリスクもあります。
DIYでできる確認方法
- 高圧・低圧のガス圧をゲージで測定(高圧側も必須)
- コンプレッサーのクラッチON/OFF状態と動作音の確認
- 吹き出し口温度の実測(サーモメーターでチェック)
- エアコンフィルターの目詰まり点検
これらを行った上で、異常が見つかれば整備工場での診断を受けることをおすすめします。
まとめ:複合的な視点で原因を探ることが大切
冷房が効かない原因は1つとは限りません。エキパン、コンプレッサー、エバポレーターなど複数の部品が関与しており、それぞれの状態を確認して総合的に判断する必要があります。
L275S系車両に限らず、10年以上経過した車両ではエアコン系統の不調は珍しくありません。早めの点検と対処で、快適な夏を迎えましょう。
コメント