車とバイクでは、カスタム文化や規制の背景が異なり、特にマフラーに関しては新車装着率にも大きな差があります。本記事では、なぜ車はバイクと違い、車外品マフラー(アフターマーケット製)が新車時に装着されないのかを多角的に解説していきます。
新車における純正装着の原則
自動車メーカーは新車販売時に、国土交通省の認可を得た保安基準に適合した部品しか装着できません。マフラーもその対象で、排気音・排ガス・耐久性に関して厳しい検査が課せられています。
一方、車外マフラーはこれらの条件を満たす場合でも「認定取得済み」の証明(JQRなど)が必要です。メーカーとしては、その適合管理コストや品質保証の観点から、リスクのある社外製を初期搭載するインセンティブが少ないのです。
バイクはなぜ装着例が多いのか?
バイクの場合、特にスポーツモデルにおいては車重の軽減やパフォーマンス向上を目的に、メーカー自体が純正扱いで社外ブランド(例:ヨシムラ、モリワキ)と提携して出荷するケースがあります。
また、バイクユーザーの多くは“乗り味”や“音”に強いこだわりを持っており、カスタム文化が根付いているため、メーカー側もあらかじめ社外マフラー搭載モデルを用意する市場背景があるのです。
車業界でのカスタム文化の傾向
車業界でも一部のスポーツグレード(例:GR、STI、NISMOなど)では、開発段階から社外パーツに近い純正オプションマフラーが設定されています。ただし、それでも「純正オプション」扱いであり、初期装着ではなくディーラー装着となるケースが多いです。
これは車検対応や騒音規制に対しての厳格な対応が求められること、加えて複数モデルに共通パーツとして使えない場合が多く、コスト効率が悪いことが理由です。
法規制と保証制度の違い
自動車には車両保証・エミッション保証(排ガス)などがセットになっており、メーカーが認めた純正部品以外を取り付けた場合、それらの保証が一部失効するリスクがあります。
バイクではこのあたりの保証が車に比べて簡易的だったり、社外マフラーが保証対象に含まれる場合もあるため、導入障壁が低いのです。
実例:スポーツモデルとマフラー戦略
例として、トヨタ GRヤリスでは、TRDやHKS製のスポーツマフラーがオプションとして用意され、GRガレージなどでの装着が推奨されています。
また、ホンダ シビック TYPE Rなどは、最初から3本出しマフラーの専用設計で製造されており、社外ではなく純正で“走り”と“音”を追求した形となっています。
まとめ
車が新車時から社外マフラーを搭載しないのは、「法規制の厳しさ」「製造・保証の観点」「コスト面」「ユーザー層の違い」といった複数の要因が絡んでいます。
バイクとは異なり、自動車では車検適合性や音量規制に対する対応が重要視されるため、メーカー純正品以外の搭載には慎重にならざるを得ません。カスタムを楽しみたい場合は、ディーラーで対応可能な純正オプションや公認社外品の活用が安心と言えるでしょう。
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