かつて“イチ、ニッ、サン”のCMでおなじみだった日産自動車。カルロス・ゴーン元会長によるV字回復で話題をさらった同社ですが、近年はその後の再建が思うように進んでいないとの声も上がっています。この記事では、日産の経営再建の現状と課題、そして今後の展望についてわかりやすく解説します。
ゴーン時代の急成長とその代償
日産は1999年、経営危機に陥っていた際にルノーからの支援を受け、カルロス・ゴーン氏を迎え入れます。ゴーン氏の徹底したコストカットと効率化戦略により、業績は急回復しました。
しかしその反面、開発費の抑制やディーラー網の整理により中長期的な商品力の低下やブランド力の毀損を招きました。つまり、短期的な回復の裏で、長期的な持続性を犠牲にしたとも言えます。
再建の停滞は何が原因か
2020年以降、日産は「Nissan NEXT」という4年間の中期計画を打ち出し、ラインナップの整理・固定費削減・電動化へのシフトを掲げてきました。しかし、再建が進んでいないと感じる主な理由は以下の3点です。
- 新型車の投入スピードが遅い
- グローバル市場での競争力が低下
- アライアンス関係の曖昧さ
特に、日産は海外市場(米国・中国)での競争激化に対応できていないとされ、かつてのような存在感を失いつつあります。
EV戦略の出遅れが致命的
トヨタやホンダ、そして欧米の自動車メーカーがEV戦略を加速させるなか、日産は初期にリーフを出したものの、その後の展開が鈍化しました。アリアなどの新型EVも市場で爆発的な成功を収めていないため、出遅れ感が否めません。
また、バッテリーや生産体制での競争優位性を構築できていないことも、投資家からの評価を押し下げている要因です。
組織改革と企業文化の課題
ゴーン氏の退任後、日産は「自主独立路線」と「ルノーとの連携強化」の狭間で揺れています。これにより、意思決定のスピードが鈍化し、変革の方向性が曖昧になっているとの批判もあります。
社員の士気低下や経営層への信頼の欠如など、目に見えにくい組織内部の課題も、経営再建のブレーキになっていると考えられます。
打開策はあるのか?今後に期待される動き
2024年にはルノーとのアライアンス再編が進み、資本関係の見直しも行われました。これにより、より自立的な経営判断が可能になり、EVや次世代モビリティへの投資強化も表明されています。
さらに、2025年以降は次世代EVプラットフォーム「CMF-EV」ベースの新モデルが投入予定であり、新たな商品力と技術革新が注目されています。
まとめ:再建の歩みは遅いが確実に進んでいる
日産の経営再建は確かにスロースタートに見えますが、「イチ、ニッ、サン」で止まっているわけではありません。商品戦略やアライアンスの整理、EV技術の強化など、着実に次のステップへ向かう準備は進められています。
今後、日産が再び存在感を取り戻すには、スピードと明確な戦略、そして消費者との信頼回復が不可欠です。その“シゴロナナ”のステップに注目していきたいところです。
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