CBX400FにCBX550F用のキャブレターを流用するというチューニングは一部のライダーの間で行われていますが、その一方でセッティングの難しさやエンジン特性との相性による不具合も報告されています。この記事では、マフラー付近のオイル付着、頭打ち現象、始動不良などの症状がなぜ起こるのか、その原因と考えられる要素を実例を交えて解説します。
マフラーエンド付近のオイル付着|原因はオイル上がり?燃調?
マフラーエンドやスリップオンの繋ぎ目にオイル状の液体が付着している場合、主に以下の2つが考えられます。
- オイル上がり・オイル下がりによる未燃焼オイルの排出
- 燃調が濃すぎて燃え切らずにカーボン汚れとして排出される
指で触ってみてベタつきや匂いがエンジンオイルそのものに近ければ、エンジン内部からのオイルが燃焼室に回っている「オイル上がり」「オイル下がり」の可能性があります。対して、黒く湿ったススのようなものは燃調過多(リッチ)によるものです。
CBX550Fキャブを流用した場合の燃調とセッティング
CBX550Fのキャブは、CBX400Fよりも口径が大きく、流量が多いため、流用しただけでは燃料が過剰になりがちです。特にジェットの番手がCBX550F用のままになっていると、全域で燃調が濃くなり、次のような症状が出やすくなります。
- アイドリング不安定
- 高回転域での頭打ち
- プラグが黒く燻る(カーボン付着)
- マフラーから黒煙が出る
一例として、CBX400F用のメインジェット番手が#90前後であるのに対し、CBX550F用は#105など高番手の傾向にあります。ジェット類の変更やニードル位置の調整が必要です。
高回転でのボコつき・頭打ち現象の考察
4速以上・6000回転からのボコつきは、燃調の過多または点火系の不具合が原因として考えられます。以下の可能性があります。
- 燃料が濃すぎて完全燃焼できず失火している
- プラグの熱価やギャップが不適切
- CDIやイグニッションコイルの劣化
高回転域は空燃比が最もシビアに影響するため、メインジェットの見直しとあわせて電装系の点検もおすすめします。
チョークを引いても始動しないのはなぜ?
エンジンが冷えていてもチョークを引くと逆にかからない、という症状は、チョークによる濃すぎる燃料供給が原因と考えられます。これはキャブセッティングがすでに濃すぎる状態で、チョークでさらに燃料が過剰になり失火するためです。
特にニードルが濃い側にセットされていたり、アイドルジェットが過剰になっていると、始動直後の燃料が多すぎてエンジンがかかりにくくなります。プラグがすぐにかぶる場合もこの影響です。
今後の調整ポイントと対策まとめ
CBX400FにCBX550Fキャブを装着した場合、適切な燃調セッティングを施さないとトラブルが頻発します。以下の調整が重要です。
- メイン・スロージェットの番手変更
- フロート高さの確認と調整
- プラグの番手・状態のチェック
- エアクリーナーの通気状態
また、燃調のセッティングには空燃比計(A/Fメーター)があると正確に調整できます。プロショップに依頼するのも一つの方法です。
まとめ:キャブ流用は調整次第で快調にも不調にもなる
CBX400FにCBX550Fのキャブを装着することは可能ですが、燃調・吸気・点火のバランスをしっかりと調整しないと、かえって走行性能やエンジン寿命に悪影響を与えます。ボコつきや始動不良、マフラーからのオイル付着などの症状が見られる場合は、燃料供給が過剰になっている可能性が高いため、ジェットの再構成やニードルセッティングを見直してみましょう。
最終的にはキャブセッティングの専門知識が必要となるため、不安な方は旧車対応のバイクショップでの点検・調整を強くおすすめします。
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