かつて1980~90年代に社会問題として取り上げられていた暴走族。その後、時代の移り変わりとともに激減し、今では「絶滅危惧種」とも言われる存在になりました。しかし、令和の現在でもわずかにその活動を続けている若者たちが存在しています。本記事では、現代における暴走族の実態や変化、旧来との違いについて詳しく解説していきます。
暴走族の定義と過去のイメージ
暴走族とは、主に改造バイクや車で深夜の公道を暴走し、集団での走行や威圧的な行動を繰り返す若者たちの集団を指します。1980年代には全国で4万人を超える構成員がいたと言われ、敵対するチーム同士の抗争や乱闘騒ぎが頻発していました。
当時の暴走族は、いわゆる“族”文化を持ち、制服、旗、儀式などが明確に存在していました。勢力争いやシマ争いによる乱闘事件は、新聞の社会面を賑わせていたのです。
令和の暴走族はどう変わったのか
現在、警察庁が発表する統計によれば、暴走族の構成員は全国で1,500人を下回る程度にまで減少しています。これはピーク時の10分の1以下という激減ぶりです。取り締まりの強化や法改正、SNSの普及などにより、集団での活動が難しくなったことが一因とされています。
また、現代の若者はバイク離れや車離れが進んでおり、暴走行為に魅力を感じる層も減少しました。さらに、暴走行為が即SNSなどで晒される時代背景も、抑止力として機能しています。
現代の暴走族の特徴と傾向
令和の暴走族は、かつてのような明確な「抗争型集団」ではなく、単発的なイベント的行動や、一部地域での夜間走行にとどまるケースが多くなっています。こうしたグループは俗に“旧車會”とも呼ばれ、どちらかと言えばノスタルジーを楽しむ愛好会に近い存在です。
ただし、ごく一部には未だ「敵対チーム」との軋轢やトラブルがある例も見られます。例えば、地元意識の強い小規模なグループ間での衝突や、SNS上での煽り合いからリアルでの接触に発展するケースなどが報告されています。
SNSとネット文化がもたらした変化
SNSの台頭は、暴走族文化にも大きな変化をもたらしました。目立ちたいという動機が「深夜の暴走」から「バイクのカスタム投稿」や「TikTokでの爆音動画」などにシフトしてきています。
また、警察の監視も高度化しており、ドローンや防犯カメラ、通報アプリの普及によって、集団での違法行為は非常に発覚しやすくなりました。このため、多くの若者は違法性のある活動を避け、合法的なイベントやカスタム文化にシフトしています。
旧来型暴走族との比較:何が違うのか
過去と比較すると、次のような違いが顕著です。
- 活動の規模:数百人規模のチームから、5~10人程度の緩やかなグループへ。
- 抗争の頻度:組同士の明確な抗争は激減し、暴力的衝突はほぼ消滅傾向。
- 目的の変化:自己表現やファッション、SNS映えが主目的に。
こうした違いから、現代の“暴走族的存在”は、従来のような社会不安の要因ではなく、一部の若者文化の延長として捉えるのが適切でしょう。
まとめ:令和の暴走族は“文化”としての移行期にある
暴走族はもはや大きな社会問題ではありません。令和時代の若者たちは、自己表現や趣味としてのバイク文化を楽しむ傾向が強く、抗争や乱闘といった旧来的な暴力性は影を潜めています。
それでもごく一部には、旧来の暴走族的マインドを持つ者たちも存在し、小規模なトラブルが発生する可能性は否定できません。とはいえ、それは例外的であり、令和の暴走族はむしろ“過去の文化をリスペクトする懐古的グループ”として再構築されつつあるのです。
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