1970年代の日本では、ブルーバードやコロナ、スカイライン1500などが小型タクシー車両として活躍していました。当時の車両規格は現在と異なり、サイズや排気量によって厳格に分類されていました。この記事では、当時の5ナンバー車の枠組みや規格の背景、タクシー車両としての利用実態について詳しく解説します。
1970年代の5ナンバー車規格とは
現在の5ナンバー車の定義は以下のとおりです。
- 全長:4.7m以下
- 全幅:1.7m以下
- 全高:2.0m以下
- 排気量:2,000cc以下(ガソリン)
しかし、1970年代の小型車規格はこれよりも厳しく、特にタクシー用車両では全幅1.495m、全長3.99m以下といった条件が実質的に求められる場合がありました。これは当時の道路事情や都市部の取り回しに配慮した仕様といえます。
当時の小型タクシー車両とそのスペック
1970年代のタクシー車両は以下のようなモデルが多く使われていました。
車種 | 全長 | 全幅 | 排気量 |
---|---|---|---|
日産ブルーバード(510型) | 3995mm | 1495mm | 1500cc |
トヨタコロナ(RT40系) | 3985mm | 1490mm | 1500cc |
日産スカイライン1500 | 3980mm | 1480mm | 1500cc |
このように、当時のタクシーは実質的に「小型車」の最大寸法ギリギリを活かして設計されており、税制や運用コストとのバランスが重視されていました。
軽自動車と5ナンバーの中間枠は存在したか
質問にもある「5ナンバーの第2枠」のようなカテゴリは、制度上明確には存在しませんでした。軽自動車(360cc規格)と5ナンバー(小型車)との間には分類上のグラデーションはなく、それぞれ別の車両区分です。
ただし実態として、「都市タクシー向け」などで特定寸法内に収めた仕様車が流通しており、それが「第2枠」と認識されていた可能性はあります。制度上の分類というより、運用上の慣習による制限と考えられます。
なぜ149cm以下が重要視されたのか
1970年代の都市部では、狭隘道路でのすれ違いや駐停車が重要課題でした。全幅1495mmというサイズは、当時の市街地走行において最適とされており、「小型タクシー=149cm以下」というイメージが定着していました。
また、車両価格や整備コスト、燃費、車庫証明の要件なども影響し、タクシー会社は積極的に小型車を導入していました。
制度の変化と現在の規格との違い
現在は5ナンバーと3ナンバーの違いがやや緩やかになっており、小型セダンの絶対数も減少傾向です。全幅1.7m超のSUVやミニバンが主流となったことで、当時の「5ナンバー=庶民の車・タクシーの定番」という常識は過去のものとなりつつあります。
それでもなお、制度の背景や歴史を知ることは、クルマ文化の理解に深みを与えてくれます。
まとめ:かつての「小型車枠」は制度ではなく慣習だった
1970年代にタクシーで使用されたブルーバードやコロナ、スカイライン1500は、当時の5ナンバー枠の中でも「ギリギリまで使い切った仕様」として設計されていました。
「第2枠」と呼ばれるような制度は明文化されていませんが、実態としてはあったに等しい車両選定基準が存在していたのです。当時の車両規格や交通環境を理解することで、日本の自動車史をより深く楽しめるようになるでしょう。
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