自動車業界における電動化とデジタル化の波は、いまや避けがたい現実となりつつあります。PwC Japanグループの予測によれば、2035年には新車販売のうち65%がスマートフォンのようにアップデート可能な電気自動車(SDV=ソフトウェア定義車両)になると言われています。これはつまり、ガソリン車の新車販売が壊滅的になる未来が到来することを意味します。果たしてこの動きにどう向き合えばよいのでしょうか?
SDVとは?スマホ化する電気自動車の正体
SDV(Software Defined Vehicle)とは、ハードウェアではなくソフトウェアによって機能や価値が定義される次世代型の車両を指します。スマートフォンのようにOTA(Over The Air)で機能追加やアップデートが可能で、自動運転支援や車内エンタメの高度化が進んでいます。
テスラや中国のNIO、BYD、さらに国内のホンダやトヨタもこの分野に本格参入しており、「クルマ=走るスマホ」という概念が徐々に現実になりつつあります。
ガソリン車の未来は?壊滅的という予測の背景
PwCの予測が正しければ、10年後には新車販売の3台に2台がSDV型のEVになる計算です。これには以下のような背景があります。
- 各国のEV推進政策(ガソリン車禁止):EUでは2035年にガソリン車新車販売禁止、日本も同年までに非EVの割合を激減させる目標
- EV技術と価格の進化:電池価格の低下と製造効率の改善で価格差が縮小
- 環境意識と企業のESG対応:CO2排出量ゼロを目指す動きが企業・個人レベルで広がる
こうした状況では、ガソリン車は“過去の資産”となり、特に新車としての選択肢は急激に減っていくでしょう。
ガソリン車を保有している人はどうすべきか?
ガソリン車ユーザーが今からできる対応として、以下のような選択肢が挙げられます。
- 長期保有・維持を前提としたメンテナンス体制の確保
- リセールバリューが高いうちに売却・EVへの乗り換えを検討
- ハイブリッド車やPHEV(プラグインハイブリッド)への段階的移行
- EVインフラ(充電設備)への備え
特に地方や寒冷地などではEVの実用性に課題が残るため、状況に応じた柔軟な判断が重要です。
自動車業界全体の構造転換にも注目を
ガソリン車が衰退する一方で、自動車業界は以下のような方向へ進んでいます。
- 製造業からソフトウェア企業へ:アップデートやデジタルサービスが主軸に
- 販売からサブスクリプションへ:月額定額でクルマを利用するモデルが増加
- シェア・モビリティの進化:個人所有から共同利用へと価値観が変化
ユーザーとしても、「所有すること」から「利用すること」への意識変化が求められる時代です。
まとめ
2035年までに新車の65%がSDVになるという予測は、決して夢物語ではありません。ガソリン車の未来は縮小する一方で、EV・SDVという新たなスタンダードが確実に迫っています。私たちにできることは、今のクルマ社会を取り巻く変化を正しく理解し、柔軟に選択肢を広げていくことです。「変化を恐れるか、機会と捉えるか」——その判断が、これからのカーライフを大きく左右するでしょう。
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