近年、高齢ドライバーによるアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故がニュースで取り上げられることが増えています。「まさか自分が…」と思っていた人でも、一瞬の気の緩みが重大事故に繋がるケースは少なくありません。今回は、特に60代以降のドライバーが無事故で運転を続けるために、具体的な対策や注意点を解説します。
高齢者に多い踏み間違い事故の実態とは
警察庁や自動車事故対策機構(NASVA)のデータでは、70歳以上のドライバーによる踏み間違い事故の割合が年々増加傾向にあります。原因としては、注意力の低下、足腰の筋力の衰え、判断力の鈍化などが挙げられます。
また、「自分はまだ大丈夫」と思い込んでしまう過信も事故を招きやすい心理要因の一つです。実際に一度もミスをしたことがない方でも、ある日突然ミスをしてしまうことがあるのです。
実際にあったヒヤリ体験:踏み間違いの瞬間
とある67歳の女性ドライバーは、夕方スーパーの立体駐車場でバック駐車しようとした際、誤ってアクセルを踏み込み、車が前進。その後あわててブレーキを踏もうとしたものの、今度はギアがバックの状態で再び急加速。幸い事故には至らなかったものの、「本当にぞっとした」と語っています。
彼女はサンダル履き、ワイヤレスイヤホン着用、座席位置の違和感など、複数の小さな注意不足が重なったことを反省しています。
踏み間違いを防ぐための具体的対策
- 運転時の履物は必ずスニーカーや運転用シューズを選ぶ
- 座席位置とミラーを毎回調整する習慣をつける
- 音楽やイヤホンをつけたまま運転しない
- 可能であれば先進安全機能(誤発進抑制機能等)付き車に乗り換える
さらに、NASVAのシミュレーターや講習プログラムに参加することで、反射神経や認知力の確認も可能です。
安全装置の活用も検討を
最近の車には、踏み間違い時の急発進を抑制する「誤発進防止装置」や、障害物を検知して自動ブレーキが作動する「衝突軽減ブレーキ」などが搭載されています。
自動車メーカーやディーラーでは、一定の年齢に達したユーザーに対して買い替えや安全装備の追加を促すキャンペーンも行われています。安全装置は「過信するためのもの」ではなく「補助」として利用することで、より安心な運転が可能になります。
家族や周囲との協力体制も重要
高齢者自身が自ら運転を制限するのは難しい場合もあるため、家族や周囲のサポートが不可欠です。ドライブレコーダーを設置して運転記録を家族と一緒に振り返る、乗る前に一声かけてもらうなど、小さなことでも安全意識の継続につながります。
また、同乗者がいる際は車内での会話を控えめにし、運転に集中できる環境を整えることも重要です。
まとめ:事故を防ぐには「環境」と「意識」の見直しが鍵
年齢を重ねるとともに、若い頃には気にしなかったような運転中の小さな違和感が、大きな事故につながる可能性があります。自分を過信せず、運転環境や習慣を見直し、安全装置の活用や講習の受講も視野に入れて、安全なドライブライフを続けていきましょう。
あなたの気づきが、誰かの命を救うきっかけになるかもしれません。
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