最近、高齢者の運転免許証を見ると、特に80歳以上の男性が「大型二輪免許」を所持しているケースが多いことに気づく方も多いかもしれません。実際に彼らが現在でもバイクを運転しているかどうかは別として、「なぜこんなに多いのか?」という疑問には、過去の免許制度に理由があります。
かつての「自動二輪免許」がカバーしていた範囲
現在では、排気量に応じて「普通二輪免許」と「大型二輪免許」が明確に分かれていますが、昭和40年代以前の日本では「自動二輪免許」として一本化されていました。この免許は排気量に関係なく、400ccを超えるバイクでも運転可能だったのです。
つまり、当時この免許を取得していた人々は、現在の制度に照らし合わせると自動的に「大型二輪免許」として格上げされたというわけです。
昭和世代の免許制度の特徴
昭和30~40年代は、まだバイクの利用が今よりも一般的で、通勤や業務用に中型・大型バイクを利用することも多くありました。そのため、「とりあえず自動二輪も取っておこう」と考える人が多かったのです。
当時の教習や試験も、現在ほど厳格なものではなく、比較的取得しやすかったことも背景にあります。
なぜ「大型二輪免許」に自動格上げされたのか?
平成元年(1989年)以降、自動二輪免許の制度改正が段階的に行われ、現在のような区分(普通二輪・大型二輪)に再編されました。この際、既に「自動二輪免許」を持っていた人については、過去の運転実績と安全運転を尊重する形で、再試験なしで「大型二輪」に移行されたのです。
つまり、当時の免許制度が現代の制度に再編されただけで、本人がわざわざ大型二輪を新たに取得したわけではないケースがほとんどです。
実際の免許証表記とその意味
高齢者の免許証を見ると、「大自二(限定なし)」と記載されていることがあります。これは現代の「大型二輪免許(MT)」に相当します。この記載がある人は、理論上はホンダのゴールドウイングやヤマハのVMAXなど、大型バイクにも乗ることが可能です。
ただし、実際には高齢や体力の関係から運転を行っていないケースが大半で、「資格として保持している」という意味合いが強いのが現状です。
まとめ:制度の変遷を知れば納得
80歳以上の男性の多くが「大型二輪免許」を所持しているのは、かつて存在した「一括型の自動二輪免許」が原因であり、それが制度変更によって格上げされた結果です。
免許証の記載だけでは、いつ・どの制度で取得したかまではわからないため、背景を理解していないと不思議に思えるかもしれませんが、歴史を知ることで納得できる事実なのです。
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