ホンダモンキーZ50Jなどの旧車は、ボアアップなどのカスタムを加えるとキック始動に不具合が出ることがあります。特に「キックが重くてもクランクが回らない」「滑るような感覚」などの症状は、さまざまな原因が考えられます。この記事では、ボアアップ車両で発生しやすいキック始動不良の原因と対策を解説します。
キック始動時の滑りとは?まず症状を整理しよう
エンジン始動時、キックペダルを踏むとクランクが回らない、もしくは途中で空転するような感覚になる場合、「キックギアの滑り」や「クラッチの空転」「キックスピンドルの摩耗」などが疑われます。
特にボアアップ(例:73cc)された車両では、圧縮が上がっているため、エンジン始動時にキックにかかる負荷が増し、それが症状を悪化させていることもあります。
よくある原因1:キックギアの摩耗や破損
モンキーのような旧車では、キックギアが摩耗していると歯がうまく噛まず、キックしてもクランクが回らないことがあります。キックを多用する車両ではこの摩耗が進みやすく、数千キロで不調が出ることも。
摩耗したギアの例として、「踏み込みが重いが空回りする」「時々ガチッと噛み合う音がして始動する」などの症状が見られます。
よくある原因2:クラッチ周りの不具合
クラッチアウターとキックギアのかみ合わせが悪い場合や、クラッチのスプリングが弱っている場合、キック時に力がうまく伝わらず空転することがあります。特にノーマルクラッチをそのまま使用してボアアップしている場合、負荷が大きくかかるため不具合が出やすいです。
また、クラッチプレートが焼けていたり、オイルが劣化していたりすると、キック時のグリップ力が不足し、スリップすることも。
よくある原因3:キックスピンドルのトラブル
キックスピンドル自体が摩耗していたり、リターンスプリングが弱っていたりすると、ペダルの戻りが悪くなり、ギアが正しく噛み合わないケースがあります。これも「重いのに回らない」といった症状の原因となります。
とくに症状が「2回に1回滑る」ような断続的なものの場合、スピンドルやラチェット部品の消耗も疑うべきポイントです。
ボアアップ時の注意点と推奨対策
ボアアップをした場合は、エンジン内部の負荷に対応するため、以下の対策が推奨されます。
- 強化クラッチへの交換
- キックギア一式の新品交換(純正または強化品)
- 定期的なオイル交換と粘度管理(硬めのオイル推奨)
また、エンジン開閉を伴う作業になるため、整備に自信がない方はバイクショップに依頼するのが安心です。
症状の診断と修理費用の目安
自分で分解点検するには、クラッチカバーを外して内部を目視点検し、ギアの摩耗やスプリングの状態をチェックします。専用工具(フライホイールプーラーなど)が必要になるため、初心者には難しいかもしれません。
修理をショップに依頼した場合、以下のような費用が目安です。
修理内容 | 費用の目安 |
---|---|
クラッチ交換 | 1万5千円~3万円 |
キックギア一式交換 | 1万円~2万円+工賃 |
分解点検のみ | 5千円~1万円 |
まとめ:症状の放置は悪化を招く、早めの点検を
キックが滑る症状は、単なる劣化や整備不良が原因のことが多いですが、放置するとクランクケース内の大きな破損につながる恐れもあります。
違和感があるうちに早めに点検・修理を行うことで、愛車を長く安心して乗ることができます。モンキーのような個性的なバイクだからこそ、日常の整備と早めの対応がとても重要です。
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