なぜヨーロッパのクルマは大型化、日本では再びコンパクト化?車幅の違いに見る市場の変化と背景

新車

ヨーロッパを走るクルマの多くが近年ワイド化し、車幅180cm以上が標準化されてきた一方、日本では170cm未満のコンパクトカーや軽自動車の存在感が増しているように感じられます。かつては日本でも車幅拡大がトレンドとなっていましたが、現在はなぜこのように異なる方向へと進んでいるのでしょうか?この現象の背景を市場環境やインフラ、消費者ニーズから探ってみましょう。

ヨーロッパで車幅が広くなっている理由

欧州では安全基準や快適性の向上、EV化への対応が進む中で、クルマのサイズも大型化する傾向があります。特に衝突安全性や歩行者保護性能の強化により、車体に厚みを持たせる必要があり、結果的に車幅が拡大しています。

また、SUV人気の高まりも車幅拡大を後押ししています。たとえばフォルクスワーゲン・ゴルフは以前は約170cmでしたが、現行モデルでは180cm前後。プジョーやBMWの主力車種もほぼ例外なく180cm以上の車幅となっています。

インフラと駐車スペースの事情が欧州では寛容

欧州の都市設計や住宅事情では、日本よりも比較的道路幅が広く、駐車スペースにも余裕があるため、車幅が大きくても支障が出にくい環境です。また、多くの家庭が一戸建てで私有駐車場を持っていることが多いため、車体サイズの制約が少ない傾向にあります。

高速道路の設計幅やガレージサイズの違いも、車幅拡大を許容する文化的背景のひとつです。

日本で再びコンパクトカーが主流になった理由

一方で日本では、都市部を中心に狭い道路・駐車スペースが依然として多く存在します。幅が170cmを超える車両では、月極駐車場の利用に追加料金が発生したり、駐車そのものが難しくなることもあります。

また、車幅170cm未満であれば「5ナンバー枠」に収まるため、自動車税や保険料などの維持費を抑えることが可能です。この制度面のメリットも、日本市場でコンパクトカーが選ばれる大きな理由となっています。

実例:ノア・ヴォクシーやプリウスの車幅と販売傾向

トヨタ・ノア/ヴォクシーは現行モデルで174cm超となり3ナンバーサイズとなっていますが、以前の5ナンバー時代より販売が鈍化しているとの分析もあります。また、現行プリウスも180cmを超える全幅を持ちますが、日本の都市部では「少し大きすぎる」という声も。

その一方、ヤリスやライズなどの5ナンバーサイズのモデルは、街乗りに最適なサイズ感から高い人気を保っています。

税制やナンバー制度の違いも影響

日本では車幅が170cmを超えると3ナンバーになり、税制上の優遇が減るため、消費者は意識的に5ナンバーサイズを選ぶ傾向にあります。一方ヨーロッパでは、ナンバー区分に車体寸法の制限はなく、サイズによる税負担の差も少ないため、実用性や安全性が優先されやすいのです。

つまり、制度の違いがクルマのサイズ選びにも大きな影響を与えているというわけです。

まとめ:車幅の広がるヨーロッパと、コンパクト化に戻る日本の背景

ヨーロッパで車幅が広くなった背景には、安全性の強化、SUV需要の増加、EVの搭載スペース確保といった技術的・実用的な理由があります。一方、日本ではインフラや税制の都合から、再びコンパクトカーや軽自動車が主流になりつつあるのです。

このように、単なるトレンドではなく、地域ごとの事情と制度の違いがクルマのサイズ選びに大きく関わっていることを理解することで、より納得のいく車選びができるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました