エンジンオイルの粘度とその温度管理は、サーキット走行を安全かつ効率的に楽しむために極めて重要な要素です。特に5W-30や10W-30といった粘度のオイルを使用している場合、油温がどこまで上昇したらクーリング走行に入るべきか、明確な基準を持っておくことはエンジン保護の観点でも大切です。
5W-30・10W-30の耐熱限界と特性
5W-30や10W-30のオイルは、一般的に市販車やライトチューニング車向けの粘度設計であり、潤滑性や燃費性能を重視しています。一方で、サーキットのような高負荷環境では高温による粘度低下が早いため、100〜115℃を超えると性能劣化が始まると考えるべきです。
メーカーやベースオイルの質によって多少の差はありますが、保険的に見るとクーリング開始の目安は110〜115℃が現実的です。
オイル温度別の参考基準とその理由
- 〜100℃:最も理想的な油温ゾーン。安定してサーキット走行が可能。
- 110℃:粘度低下が目立ち始めるボーダー。軽くクーリング走行に入るのが理想。
- 120℃:緊急ではないがクーリング推奨ゾーン。オイル劣化が加速し始める。
- 130℃以上:5W-30・10W-30では高すぎ。エンジン保護の観点でリスクがある。
一方、20W-50などの高粘度オイルであれば130℃まで許容されることもありますが、粘度が高い分フリクションロスや冷間始動性のデメリットもあるため、使用用途とバランスの検討が必要です。
油温上昇の原因と対策
油温が上がる主な原因には、以下のようなものがあります。
- 高回転域の長時間使用
- 連続走行による熱の蓄積
- オイルクーラー未装着・性能不足
- オイル量の不足や劣化
対策としては、TRUST(GReddy)やHKSなどのオイルクーラー導入、サーキット専用オイルへの変更、休憩を挟んだ走行、オイルレベルチェックの徹底などが有効です。
実際のサーキットユーザーの声
サーキットユーザーの中でも、5W-30や10W-30使用時に「110℃前後で一度クーリングに入る」という声が多数報告されています。特にNAエンジンや軽量スポーツカーなどではこの範囲が現実的なラインです。
「115℃でクーリング開始→100℃まで冷却→再アタック」という流れをルーチン化している人もいます。
まとめ
5W-30や10W-30のような比較的低粘度のエンジンオイルをサーキットで使用する場合、110℃〜115℃を上限としてクーリング走行を挟むことが、エンジン保護の面で安心です。
より安心したい場合は、粘度を上げるか、オイルクーラーの導入、または高温特性に優れたオイル(例:モチュール300Vシリーズなど)への切り替えも検討しましょう。
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