古いバイクに乗る喜びは、ただの移動手段を超えた趣味性や愛着が伴います。しかし、いざ車検となると「なぜ重量も変わらないのに重量税が高くなるのか?」といった疑問を抱くライダーも多いはず。本記事では、旧車に課される重量税の仕組みとその背景、そして今後の課題について解説します。
そもそも重量税とは?名前と実態のギャップ
「重量税」という名称から、多くの人が車両の“重さ”に応じて課税されると誤解しがちですが、実際には車の使用年数や区分によっても税額が異なります。
バイクや車の車検時に支払う重量税は、新車登録からの年数によって増額され、特に13年超・18年超の旧車は税額が大幅に上がります。これはあくまで「環境性能」を評価する制度の一環で、重量との直接的な関係はありません。
なぜ年式が古くなると重量税が上がるのか?
国の政策としては、環境負荷の高い旧型車の利用を抑制し、環境性能の高い新型車へ買い替えを促進するという意図があります。
古い車は燃費が悪く、排出ガスの基準も現在より緩やかであったため、温暖化対策や大気汚染対策の観点から課税額を上げる仕組みが採用されました。これにより、車齢が長い車は重量税が増えるという「逆インセンティブ構造」が作られているのです。
「重量税」でなく「環境税」に名称変更すべき?
多くの旧車オーナーが指摘するように、重さは変わらないのに税額が上がるというのは確かに矛盾しているようにも感じます。実質的には「車齢課税」である以上、「環境税」や「車齢加算税」といった名称のほうが現実に即しているともいえるでしょう。
名称が実態と一致していないことで、納税者にとっては不信感を抱きやすく、制度の透明性や納得感を高めるには改善の余地があります。
車検費用に含めるという考え方のメリットとデメリット
「重量税ではなく検査代に上乗せすべきでは?」という声もあります。たしかに検査に時間や手間がかかる旧車であれば、そのぶんの作業料として整備料金に含めるという考え方も理にかなっています。
しかし、検査手数料は国交省ではなく運輸支局の指定検査機関が関与する分野であり、税とは性格が異なるため、単純に移行するのは制度設計上難しい面もあります。
旧車オーナーのための税優遇制度はあるのか?
実は一部のクラシックカー(登録から25年以上など)には自動車税や重量税の軽減措置が検討されている地域や団体も存在します。また、愛好家団体を通じて国へ制度改善を要望する動きもあります。
2020年代に入り、歴史的価値のある車両を文化財として保存する動きも活発になっており、今後は旧車税制の見直しも期待されています。
実際の旧車車検コストの一例
例えば1995年式の250ccバイクを例に挙げると、車検費用は以下のような構成になります。
- 重量税(13年超):4,600円
- 自賠責保険(24ヶ月):9,680円
- 印紙代:1,800円
- 整備費・検査代行料:15,000〜30,000円程度
新車と比べて重量税のみが増額されるため、10年以上乗っているバイクユーザーにとっては負担感が強いのも事実です。
まとめ:旧車と重量税のズレをどう考えるか
旧車に高額な重量税が課せられる背景には、環境政策や車齢を基準とした課税ルールがあります。しかし「重さではなく年式が理由で増税される」という構造は、バイク愛好家や長く大切に乗る人たちにとっては納得しづらい部分もあります。
制度の透明性や合理性を高めるためにも、ユーザー側の声を反映した見直しが求められる時期に来ているといえるでしょう。旧車の日のような制度が実現すれば、維持する楽しみと誇りがより強まるのではないでしょうか。
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