トルクレンチの種類による使い方の違いとダブルチェックの可否について解説

車検、メンテナンス

ボルトやナットを規定トルクで締め付ける際に欠かせないトルクレンチ。中でもプリセット型(カチカチ型)とデジタル型で使用上の注意が異なる点を把握しておくことは、確実な整備やトラブル防止に役立ちます。本記事では、ダブルチェックの可否を含め、それぞれのトルクレンチの特徴と使い方の違いを解説します。

プリセット型(カチカチ式)トルクレンチの特徴と注意点

プリセット型は、設定トルクに達すると「カチッ」と音がして手応えが抜ける構造です。機械的な作動であり、過トルクになりにくい利点がありますが、注意点もあります。

代表的な注意点は以下のとおりです:

  • 2回以上のカチカチ動作はNG:再度締めると過トルクになり、ボルトが伸びたりネジ山を痛める可能性があります。
  • 使用後はトルク設定を最小に戻す:内部のバネを保護し、精度維持に繋がります。

たとえば、ホイールナットを110Nmで締め付けた場合、「カチッ」が鳴った時点で止めることが推奨されており、もう一度カチカチを試すのは避けるべきです。

デジタルトルクレンチの特徴と利便性

デジタルトルクレンチは、センサーでトルクを検知し、設定値に達すると音やランプで知らせるタイプ。アナログ的なクリックがない代わりに、数値や信号で正確なトルク管理が可能です。

そのため、作動後にもう一度トルクを確認(ダブルチェック)してもトルクが増えない限り過トルクにはなりません。「確認だけならOK、再締めはNG」という使い方ができます。

ダブルチェックが必要な場面と正しい方法

整備現場では、締め忘れやトルクミス防止のために「ダブルチェック」が推奨される場面がありますが、その際の方法が重要です。

たとえば:

  • デジタル式 → 音や表示で再確認可能(締め増ししない)
  • プリセット型 → カチカチは1回まで。再度締めるならトルク測定型で確認

確認目的であれば、締め増しせずに再度チェックのみ行うのがベストです。

実際の使用例:ホイール交換時のケーススタディ

あるDIYユーザーが、デジタルトルクレンチを使ってホイールナットを105Nmに設定。締めたあとにすべてのナットを再確認しても、「設定トルクに到達していない限りは音も鳴らない」ことを確認。安心感を得られたと語っています。

一方、プリセット型で再度カチカチ動作を行った別のユーザーは、「微妙に締まる感覚があり、トルク超過を不安に思った」とのこと。この差は明確です。

まとめ:トルクレンチの特性を理解して安全な整備を

・プリセット型は「1回カチッ」で締め終わりが基本、再締めは厳禁
・デジタル型は再確認しやすいが、締め増しは避ける
・トルク管理は、工具の特性に合った使い方が重要
・心配な場合は、トルク測定機能付きの確認専用レンチを用意するとさらに安心

車やバイク整備の信頼性を高めるには、トルクレンチの正しい使い方を理解し、必要な確認手順を守ることが欠かせません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました