2ストロークエンジンのピストン交換は、性能や寿命に直結する非常に重要な作業です。ヤマハTZR50Rでは純正ピストンに「A0」「B0」などのバリエーションが存在し、正しいサイズ選定にはシリンダーとのマッチングが不可欠です。この記事では、適合するピストンを判断するためのシリンダー刻印の位置や読み方をわかりやすく解説します。
TZR50Rの純正ピストンにある「A0」「B0」の意味とは
ヤマハの2ストロークエンジンでは、ピストンの外径にごくわずかな違いを持たせることで、シリンダーごとの微細な公差に合わせています。「A0」や「B0」はその識別コードで、通常、以下のようなサイズ差があります。
- A0:基準サイズ
- B0:A0より若干大きい(およそ0.01〜0.02mm程度)
この差は目視ではほぼ分からないため、対応するシリンダーのサイズ刻印を基に選定します。
シリンダーのどこに刻印があるのか
TZR50Rのシリンダーには、適合ピストンサイズを示す刻印がされています。刻印位置は主に以下の場所にあります。
- シリンダー外周の吸気ポート近く
- 冷却フィンの上部、またはベースガスケット取付部周辺
「A」「B」などのアルファベットが1文字で刻まれていることが多く、この刻印に合わせてA0またはB0のピストンを選びます。
刻印の読み方とピストン選定の実例
たとえば、シリンダーに「B」と刻印されている場合、純正では「B0」ピストンが適合する設計です。もし「A」の刻印であれば「A0」が推奨されます。
実際にエンジンをオーバーホールしたユーザーが、刻印「B」に対しA0ピストンを取り付けたことでピストンクリアランスが広すぎ、異音や圧縮抜けが発生したという例もあります。必ず刻印と合致するピストンを選びましょう。
ピストン選びで注意すべきその他のポイント
純正刻印の確認以外にも以下の点に注意してください。
- シリンダーが再メッキやボーリング済みの場合は刻印が無効になる
- 社外品ピストンを使用する場合はメーカー公表の適合寸法に従う
- 長期間使用したシリンダーは摩耗により誤差が出るため、内径測定が必要になることもある
このような場合には、シリンダー内径をマイクロメーターなどで実測し、クリアランスから最適なピストンを逆算する方法もあります。
刻印が消えている・見つからない場合の対応
長年使用されているエンジンでは、刻印がサビや汚れで判読できないことがあります。その場合は以下のような対処が考えられます。
- スコッチブライトなどで軽く清掃してから刻印を探す
- 内径を実測して適合ピストンを判断
- バイクショップで適合確認してもらう
どうしても判断がつかない場合は、安全を考えて「A0」から試すケースもありますが、摩耗具合によっては適さない場合もあるので慎重に選定しましょう。
まとめ:刻印確認がピストン選定の第一歩
ヤマハTZR50Rのピストンには非常に細かなサイズ分けがされており、それに合った刻印がシリンダーに存在します。性能維持やエンジン寿命に大きく関わるポイントですので、交換の際には必ずシリンダー刻印を確認して、正確に選定しましょう。
不安な場合は、信頼できるバイクショップに依頼するのも賢明な判断です。
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