インターネット上の個人売買でスクーターを譲渡する際、購入者が「自走で持ち帰りたい」と希望するケースは少なくありません。しかし、ナンバーや廃車手続き、保険の問題などを適切に処理しないと、トラブルや法的リスクが生じる可能性があります。この記事では、個人売買における自走引き渡しの流れと安全な方法について解説します。
自走引き渡しでよくある取引の流れ
よくあるパターンとして、「売主が廃車申請を行い、ナンバーは付けたまま、書類を購入者に渡して自走で帰宅し、購入者が後日ナンバー返納と名義変更を行う」といった流れが考えられます。
一見問題なさそうに見えますが、この方法には複数の法的・保険的リスクが潜んでいます。
廃車申請後のナンバー付き走行は違法
軽二輪(125cc以下のスクーター)の場合、市区町村で登録・廃車手続きを行いますが、廃車申請した時点でナンバーの有効性が失われるため、その状態で公道を走ると無登録運行に該当し、違反になります。
さらに、廃車申請後は自賠責保険も名義とリンクしなくなるため、事故時の補償対象外となるリスクもあります。
購入者の名義で自賠責とナンバー取得後の自走が理想
安全かつ合法的な方法は、事前に購入者が自賠責保険に加入し、仮ナンバーや事前登録を済ませた状態で乗って帰ることです。
以下は安全な引き渡しのステップ例です。
- ① 売主は廃車証明書を取得しておく
- ② 売買契約書と譲渡証明書を購入者へ提供
- ③ 購入者が自賠責に加入
- ④ 購入者が地元の役所で登録・ナンバー取得
- ⑤ ナンバーを持参して引き取り時に装着、自走
一時的に仮ナンバーを取得する方法
ナンバー登録が間に合わない場合、仮ナンバー制度を活用する方法もあります。これは一時的に公道走行を許可するもので、市区町村役場で申請できます。
仮ナンバーを取得するには以下が必要です。
- 有効な自賠責保険証書
- 車両の情報(車台番号など)
- 申請理由と予定走行経路
有効期間は通常5日以内で、期限切れになると無効になります。
お互いのリスクを減らすための書類
引き渡し時は以下の書類を必ず取り交わしましょう。
- 売買契約書(双方の署名捺印)
- 譲渡証明書
- 廃車証明書
これらがあれば、万が一の名義変更忘れや事故の責任回避にも有効です。
まとめ:合法で安全な引き渡しが信頼関係につながる
スクーターの自走引き渡しには手軽さがある一方で、法的リスクも伴います。正しい手順と書類を整えておくことで、売主・購入者の双方が安心できる取引が実現します。
個人売買では「簡単さ」より「確実さ」を重視し、互いの信頼と法令順守を心がけましょう。
コメント