中古車の現状渡しと瑕疵担保責任の境界線|無断修理・重大欠陥時の法的対応と注意点

中古車

中古車を現状渡しで購入した場合でも、重大な欠陥や販売者の不誠実な対応があれば法的な責任を問える場合があります。本記事では、中古車購入後に判明したフレームの腐食や無断修理といったトラブルに対して、瑕疵担保責任や損害補償の考え方、そして具体的な対応策について解説します。

「現状渡し」契約と瑕疵担保責任の関係

中古車取引では「現状渡し」という表現がよく使われますが、これは「今ある状態のままで売買します」という意味で、基本的には故障や不具合があっても買主の自己責任とされます。

しかし、売主が故意に不具合を隠したり、重大な瑕疵(事故歴や修復歴、フレームの腐食など)を黙っていた場合は、「瑕疵担保責任」(現行法では「契約不適合責任」)に基づいて損害賠償や契約解除を請求できる可能性があります。

実例:納車後にフレームの腐食と無断溶接が発覚

たとえば、購入から1か月でフレームがちぎれ、しかも不自然な鉄骨の溶接痕が確認されたような場合、それが安全上重大な欠陥であるなら、売主に説明義務違反があった可能性があります。

このようなケースでは、たとえ「現車確認なし」で契約していたとしても、売主がフレームの修復をしていたことを黙っていた場合は、契約不適合として対応を求めることが可能です。

無断修理と追加費用請求の法的正当性

契約後に売主が買主に無断で修理(例:デフ交換)を行い、その費用を請求するという行為は、原則として無効です。修理費を請求するには、事前に買主の同意が必要です。

民法第702条(事務管理)では、他人のために勝手に行った行為に対して報酬や費用を請求できるのは、緊急や正当な理由がある場合に限られます。通常の整備であれば、それが当てはまることは少なく、法的に請求される義務はありません。

ローン契約と責任分担の可能性

購入にローンを組んでいた場合でも、車両に重大な欠陥があると認められれば、販売店側に一部負担や契約の見直しを求めることができる場合があります。特に信販会社を通じたローン(販売提携型クレジット)であれば、クーリングオフや割賦販売法に基づいた救済措置が適用される可能性もあります。

ただし、個人間売買や第三者ローンなどの場合は対象外となることもあるため、契約内容をよく確認する必要があります。

トラブル時の対応と相談先

まずは契約書や売買条件、車両状態報告書(あれば)などを確認し、相手方とのやりとりを記録に残しましょう。そのうえで以下のような相談機関を活用するのがおすすめです。

  • 消費生活センター(国民生活センター)
  • 自動車公正取引協議会
  • 弁護士(自動車関連トラブルに強い専門家)

法的措置を検討する場合には、トラブル内容の証拠(整備記録、溶接跡の写真、相手とのLINEや電話記録など)が重要になります。

まとめ:現状渡しでも「売主の説明責任」は免れない

「現状渡し=ノークレーム」と思われがちですが、重大な欠陥や故意の説明隠しがあれば、法的に責任を追及することが可能です。特に、納車後短期間で発覚した重大な不具合や無断修理は、契約不適合責任を問う根拠になります。

中古車購入時は、契約書の内容をよく確認し、不明点があれば書面で確認を取ること。そして、トラブル発生時は冷静に証拠を集め、専門機関や法律家への相談を検討しましょう。

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