三菱ランサーエボリューション(通称ランエボ)は、世代を重ねるごとに大きな進化を遂げてきました。特に「エボV(CN9A)」と「エボVII(CT9A)」は、設計思想やプラットフォームの刷新が行われた節目のモデルです。本記事では、それぞれの特徴や所有時の注意点、走行性能やボディ剛性などを比較し、購入や維持の参考となる情報をまとめます。
プラットフォームの違いとボディ剛性
エボV(1998年発売)は従来の「ランサー」ベースのプラットフォームを使用しており、比較的軽量でコンパクトな構造です。一方、エボVII(2001年発売)では「ランサーセディア」をベースとした新プラットフォームに刷新され、剛性と安全性が大きく向上しています。
具体的には、エボVIIでは各部の補強が施され、捻じれ剛性が約50%向上しています。これはコーナリング時の応答性や安定感に大きく影響し、サーキット走行など高負荷時の挙動にも現れます。
走行性能とドライビングフィール
エボVは軽快さが特徴で、ステアリングの応答性がシャープ。トルクの立ち上がりも鋭く、ドライバーとの一体感が強く感じられるモデルです。重量が軽いため、低速から中速域での加速感に優れます。
エボVIIではAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)が進化し、全体的に電子制御の介入が強くなっています。これにより、限界域での安定性が向上する一方で、ドライバーの操作に対するリニアさはややマイルドな印象です。
パーツ供給とメンテナンス性
どちらのモデルも発売から20年以上経過しており、パーツ供給は年々厳しくなっています。エボVは一部の専用部品が生産終了しており、社外パーツや中古部品に頼らざるを得ないケースもあります。
一方、エボVIIは比較的新しいプラットフォームのため、エボVIIIやIXとの互換性があり、パーツ選定に幅がある点が強みです。足回りやブレーキなどの強化パーツも豊富に流通しています。
所有時に困る可能性のあるポイント
エボVは錆や腐食のリスクが高く、特にフロア周りやサイドシルのチェックは必須です。加えて、内装の劣化や振動による異音も古さを感じさせる要因となります。
エボVIIは電子制御系のトラブルに注意が必要です。AYCやACDのメンテナンスが不十分な車両では、誤作動やオイル漏れが発生することがあります。中古購入時は整備記録をよく確認しましょう。
実際のオーナーの声と評価
エボVオーナーからは「走って楽しい」「軽快で扱いやすい」といった声が多く、旧車ならではの操る楽しさを評価する声が目立ちます。反面、「快適性は低め」「部品が高騰中」といった課題も見受けられます。
エボVIIオーナーは「安定感があり長距離も楽」「最新のランエボに近い感覚で乗れる」といった評価が多く、現代的な使い勝手を重視する層に人気です。ただし、「電子制御の維持コストが高い」との指摘もあり、購入前の検討が重要です。
まとめ:どちらが“買い”かは用途次第
エボVとエボVIIはそれぞれに異なる魅力を持っており、軽快さと操縦性を重視するならエボV、剛性や安定性を重視するならエボVIIが適しています。どちらのモデルも年式相応のメンテナンスが必須であり、購入前には整備状況やパーツの入手可否を十分に確認することが大切です。
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