高齢ドライバーの安全運転をサポートするために｜家族ができる具体的な伝え方と改善策

高齢の親が運転を続ける中で、安全面に不安を感じることは少なくありません。特に注意力の低下や運転中の癖が事故につながるリスクを高めることもあります。この記事では、70歳以上のドライバーに見られがちな運転習慣と、その改善を促すための伝え方・対策について、家族の視点から解説します。

なぜ高齢ドライバーに運転中の癖が出やすいのか？

年齢を重ねると、注意力の分散、判断力の低下、身体機能の衰えなどが少しずつ進行します。その結果、以前は問題なかった行動でも、現在では安全性を損なう要因になっていることがあります。

例えば、「昔からラジオを聴きながら運転してきたから大丈夫」という思い込みは、現在の運転能力に対する過信につながるケースもあります。

走行中にラジオを操作する行為は、わずかでも目や手をそらすことで危険に直結します。特に都市部や信号の多い道では、数秒の注意散漫が事故に繋がることも。

実例として、高齢ドライバーがカーラジオのチャンネルをいじっていた際に前方の渋滞に気づかず追突したというケースもあります。家族としては「車を止めてから操作する」習慣を根付かせるよう伝えたいところです。

エンジンをかけてすぐに「ドライブレンジ」に入れるのは、高齢者に限らずよくある癖です。しかし、これは駐車中の安全確認や発進前の一呼吸を省略することになりかねません。

特に、高齢ドライバーでは瞬時の判断が難しくなっていることもあり、「すぐに発進できる」状況に自らを追い込むのは危険です。アイドリングの時間を数秒でも設けることで、状況確認や気持ちの切り替えがしやすくなります。

高齢の親に運転習慣の改善を促すには、「否定しない」伝え方が大切です。命令口調や否定から入ると、感情的な反発を招き、かえって聞き入れてもらえません。

たとえば、「お父さんの運転が上手だからこそ、安全意識も一緒に高めてくれると安心だな」といった前向きな言葉を使うと効果的です。また、同年代の事故ニュースや身近な実例を共有し、「最近増えてるみたいだね」と自然な会話の流れに組み込むのも有効です。

言葉だけでなく、運転環境の改善もサポートにつながります。たとえば、ステアリングリモコン付きのカーオーディオに交換することで、視線をそらさずにラジオ操作ができるようになります。

また、運転開始時のルーティンに「停車時に1分間落ち着いて周囲を確認する」というルールを家族で共有するのも効果的です。リマインダーシールをダッシュボードに貼っておくと自然に習慣化しやすくなります。

高齢ドライバーに特有の運転習慣は、放置すれば思わぬ事故につながるリスクを含んでいます。ただし、本人の尊厳を守りながら改善を促すには、寄り添う姿勢と具体的なサポートが欠かせません。

ラジオ操作や発進時の癖など、日常的な行動の中にある小さな改善点に気づき、家族として安全運転のパートナーになることが、事故を未然に防ぐ大きな力となるのです。