かつてはマークⅡ・クレスタ・チェイサーといった2.0 L級セダンが“国民車”と呼ばれた時代がありましたが、現在はN‑BOXやヤリスクロスのようなコンパクト車が主流に。今回は、日本と欧米における自動車のダウンサイジング(小型化)トレンドを歴史と最新動向から整理します。
日本の“国民車”は昔から大きかった?
1980年代〜90年代、日本市場において2.0 L以上の車が一般的だった背景には、自動車取得や使用にかかる税制の構造があります。当時の軽自動車(660 cc以下)と「普通車」(2000 cc以下)では税率に大差があり、税負担を気にせず購入した層が2000 cc車を選ぶ傾向がありました:contentReference[oaicite:1]{index=1}。
また、マークⅡなどは当時、ミドルクラスの代表としてステータスも兼ねていたため、「国民車」の文脈で語られることがありました。
軽自動車の普及と車の小型化
2020年代に入り、日本では軽自動車が新車市場の約3分の1を占めるほど一般化しています:contentReference[oaicite:2]{index=2}。
これは経済性や都市部での取り回しの良さが評価された結果であり、軽やコンパクトカーが国民車の地位を担う状況です。
欧米でもダウンサイジングが進む理由
欧州や北米でも、排出規制や環境対応の一環でダウンサイジング――小排気量・ターボ化・ハイブリッド化――が進んでいます:contentReference[oaicite:3]{index=3}。
例えば欧州では2005年の平均エンジン排気量約1.7 Lが、2015年には1.6 Lに減少。一方でパワー性能は向上しており、燃費改善も達成されています:contentReference[oaicite:4]{index=4}。
BMW・VW・アウディなどはどう変化した?
高級ブランドでもダウンサイジングは顕著です。BMWは3.0 L直6から2.0 L直4ターボへシフトするなど、乗用エンジンの再設計が進んでいます:contentReference[oaicite:5]{index=5}。
VWグループ各社も、かつての大排気量自然吸気から、小型ターボエンジンへ転化しており、ラインナップ全体で小型化が進んでいます:contentReference[oaicite:6]{index=6}。
なぜ今「ダウンサイジング」が主流なのか?
- 環境規制対応:CO₂・NOx削減が求められ、小型ターボが有効。
- 燃費向上:軽・コンパクト化で日常の維持コストを下げる。
- 税制・価格面での選択肢:日本では軽税制、欧州では小排気量のエコ税制優遇。
- 技術進化:ターボ+直噴などで排気量以上のトルク・性能を維持。
まとめ:ダウンサイジングは世界的な潮流
かつての日本で主流だった“2000 cc級セダン”は、当時の社会経済状況や税制の中で支持されたモデルでしたが、現在は軽・コンパクト車が台頭しています。
欧米でも同様に、中小型車や小排気量ターボの普及が進んでおり、BMWやVWといった高級ブランドでも「性能維持しつつダウンサイジング」という潮流が明確です。
つまり、車は世界的に“ダウンサイジング”が進んでおり、30年前の大きな国民車は、もう象徴的存在になりつつあるのです。
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