近年のディーゼル車にはスマートキーによるプッシュスタート式のエンジン始動が採用されており、簡単な操作でエンジンをかけることができます。しかし、ディーゼルエンジン特有の構造や制御の都合上、始動時の操作にはちょっとした注意が必要です。とくに「ブレーキを踏んですぐにスタートボタンを押す」操作が気になっている方は少なくないでしょう。この記事では、ディーゼル車における正しい始動手順と、その理由を詳しく解説します。
ディーゼル車とガソリン車の始動プロセスの違い
ディーゼル車は、点火プラグを持たず、吸気圧縮による自己着火で燃料を燃やす構造です。このため、始動時には「予熱(グロープラグ加熱)」というプロセスが必要になります。寒冷時にはこの予熱に少し時間がかかることもあります。
一方、ガソリン車は点火プラグによる着火であるため、予熱を必要とせず、即座に始動することが可能です。この違いが、始動手順にも影響を与えています。
ブレーキを踏んですぐ始動するリスクとは?
スマートキー搭載のディーゼル車では、ブレーキを踏んでスタートボタンを押すと自動で予熱→始動という流れになりますが、特に寒冷時やエンジンが冷えている状態では、予熱が不十分な状態で始動してしまい、燃焼不良や始動性の悪化を引き起こす可能性があります。
一部の車種では、メーター内に「グローランプ」が点灯する仕組みがあり、このランプが消えてからエンジン始動するのが推奨されています。特に冬場や気温の低い朝はこのプロセスを無視しないようにしましょう。
ディーゼル車での正しい始動手順
以下は一般的なスマートキー式ディーゼル車で推奨される始動手順です。
- 1. ブレーキを踏まずにスタートボタンを一度押す(ACC → ON)
- 2. メーター内のグローランプが点灯しているのを確認
- 3. グローランプが消灯したら、ブレーキを踏みスタートボタンを押して始動
この手順を守ることで、エンジンや燃焼系への負荷を減らし、長く安定した運転が可能になります。
実例:冬場に予熱を無視した場合のトラブル
あるユーザーは、−5℃の冬の朝に何気なくブレーキを踏みすぐエンジンを始動したところ、始動後に黒煙とエンストを繰り返し、結局バッテリーを上げてしまったという体験をブログで共有しています。このような状況を避けるには、わずか数秒の待機が大きな差を生みます。
また、エンジンの寿命やDPF(ディーゼル微粒子フィルター)にも影響を与えるため、始動方法は長期的なメンテナンスコストにも関係してきます。
スマートキー車における予熱確認のヒント
スマートキー車ではエンジンをかけるまでの「ステップ」が見えづらくなっていることも多いですが、ONポジションにしてメーター表示を見ることで予熱状況がわかります。
グローランプの表示は車種により異なりますが、「スプリングのような形のアイコン」が目印となることが多いです。寒い季節には特に注意して確認しましょう。
まとめ:ディーゼル車はわずかな気遣いで寿命と性能が変わる
ディーゼル車は高い燃費性能とトルク性能を持ち合わせた優れた車ですが、始動時の扱いには独自の注意が必要です。スマートキーでの始動が普及する中でも、「予熱を待ってから始動する」という基本を守ることで、エンジンの調子や寿命、燃費にまで好影響が出ます。
忙しい朝でも、たった数秒の予熱確認が大きなトラブルを防ぐカギとなります。大切な愛車を長く乗るためにも、正しい始動手順を習慣づけていきましょう。
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