軽自動車のナックルのネジ山が潰れたときの修復方法|タップ修正と代替手段を解説

車検、メンテナンス

足回りの整備中、ロアアームのボールジョイントを固定するナックル側のネジ山が潰れてしまうというトラブルは、DIY整備では珍しくありません。特に軽自動車では部品がコンパクトなため、力加減や工具の扱いがシビアになりがちです。本記事では、タップを用いた修復方法と、万一修復が困難な場合の対処法について解説します。

ナックルのネジ山が潰れる原因とは?

主な原因は締めすぎや斜めにボルトを入れてしまったことによるネジのかじり・なめりです。また、長年の使用で錆や腐食が進んでいる場合もネジ山を損傷しやすくなります。

スズキ車の軽量な構造はメリットですが、ナックル素材がアルミや薄肉の鋳鉄であることも多く、強く締めすぎると簡単にネジ山が潰れてしまいます。

軽度のネジ山潰れなら「タップ」での修復が可能

もしネジ山が部分的に潰れているだけなら、元のネジピッチに合った「タップ(修正ダイス)」を使って清掃・修正できます。M10×1.25など、国産車のネジ規格を正確に把握することが大切です。

実際の修復手順。

  • 潤滑剤をネジ穴に軽く吹きかける
  • 正回転でゆっくりタップを差し込む(途中で逆回転して切り粉を逃がす)
  • 奥まで通したら逆回転で丁寧に抜き取る

これにより潰れた部分を削り直し、ボルトが再度通るようになるケースも多いです。

ネジ山が完全に死んでいる場合は「ヘリサート」や「タイムサート」で補修

ネジ穴全体が潰れてしまった場合、タップでは修復できません。このときは「ヘリサート(スプリュー)挿入」や「タイムサート(硬質インサート)」と呼ばれるねじ穴再生キットを使うのが定番です。

手順としては、まず大きめの下穴を開け直し、専用のコイルインサートを埋め込みます。その上に純正サイズのネジを締め込むことで、元と同じトルクで固定できるようになります。

これらは自宅での作業も可能ですが、ドリルや専用タップを正確に扱う技術が必要です。整備に慣れていない場合はプロショップに依頼するのが安心です。

ナックル側の損傷がひどい場合は部品交換も選択肢

稀に、ネジ山の潰れだけでなくナックル本体が割れていたり、過去に応急処置された痕跡がある場合、修復よりも中古ナックルへの交換が安全な選択肢となります。

特に足回りは走行中に大きな力が加わる部分なので、ネジの固定力が不十分なまま使用することは非常に危険です。部品代はかかりますが、安全面を考えれば賢明な判断と言えます。

実例:タップ修正で対応したユーザーの声

スズキアルト乗りのAさんは、ドリフト練習中にロアアームのボルトを無理に締めてネジ山を潰してしまいましたが、M10×1.25のタップでねじ山を修正し、その後数ヶ月問題なく走行できたと報告しています。

ただし、Bさんのように修復が不十分で再度トラブルに発展した例もあり、「やるなら慎重に、ダメなら潔く交換」の心構えが重要といえます。

まとめ:ネジ山トラブルは早期発見と正確な処置がカギ

ロアアームボールジョイント部のネジ山潰れは、軽度であればタップによる修正、重度であればヘリサートまたは部品交換が基本対応です。判断基準は以下の通りです。

  • 軽症なら→タップでの修復
  • ネジが入らないほど潰れている→ヘリサート
  • ナックル自体に割れや大きな損傷→交換

安全な走行のためには、確実な処置を行うことが何より大切です。自信がない場合は無理をせず、整備工場などに相談しましょう。

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