なぜBMWは“悪そうに見えない”のか？車種とイメージの深い関係を読み解く

高級車と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか？ベンツやクラウンにはどこか“強面”や“圧”のある印象を持つ方も少なくありません。一方でBMWはスポーティで洗練された印象を持たれ、「悪そうに見えない」と言われることも。こうしたイメージの違いはなぜ生まれるのでしょうか？

車にまつわる“イメージ”はどこから来るのか

車のブランドイメージは、テレビCMや広告、そして実際にその車を所有している人物像によって大きく左右されます。つまり、車自体の性能やデザインだけでなく、「誰が乗っているか」が印象形成に直結するのです。

例えばクラウンは長年「社用車」「年配の成功者向け」として知られ、ベンツは「圧倒的なステータス」を象徴する存在として、やや強面なイメージが先行することがあります。これにより、一般的な印象として「怖そう」「堅そう」といった偏見が生まれがちです。

BMWは「駆けぬける歓び」というキャッチコピーに象徴されるように、走行性能の高さと運転する楽しさを前面に押し出しています。デザインも流線型で都会的、モデルによっては若年層や女性のオーナーも多く、ブランド全体として「エネルギッシュでスタイリッシュな印象」が形成されています。

また、日本国内ではBMWユーザーにビジネスマンやスポーツ志向の人が多く、反社会的な印象と結びつきにくいことも要因の一つです。

このように、ブランドごとのユーザー層や歴史、広告戦略などが印象を左右していることが分かります。

ある中古車販売店のスタッフによると、「クラウンやセルシオを見に来るお客さんには警戒するが、BMWを見る人にはフランクに接する」ということもあるそうです。これは実際の治安や犯罪データではなく、過去のドラマや映画、報道などからくる“刷り込み”によるものです。

たとえばベンツが頻繁に使われるテレビドラマの役柄に「権力者」や「裏社会の人物」が多いことが、一般人の無意識に影響しているという見方もあります。

地方では「クラウン＝地元の権力者」「ベンツ＝見栄張りの象徴」など、都市部とは異なる独自のイメージが根付いていることもあります。一方でBMWは一部の地域では知名度がやや低いため、印象が薄く、中立的に映ることも。

これはその車が「何者でもない」として見られやすく、かえって“清潔”な印象に繋がるという逆説的な理由ともいえるでしょう。

車のブランドイメージは、モデルや仕様そのものではなく、誰がどう使っているか、社会にどう映っているかが大きく影響します。

BMWが「犯罪の匂いがしない」と感じるのは、広告戦略やデザイン、ユーザー層、文化的背景が総合的に作用した結果といえるでしょう。車種による偏見はある意味メディアや社会が作った幻想であり、冷静にその背景を知ることが“目からウロコ”の視点をもたらします。