中古車を購入後、「修復歴なし」と信じていた車が実は事故車だった――。こうしたトラブルは決して珍しくありません。特に契約書に“保証しない”旨が書かれていた場合、どう対処すればよいのでしょうか?本記事では、法的視点と実際の手続き方法に基づき、損をしないための対処法を解説します。
修復歴や事故歴の告知義務とは?
中古車販売業者は、車両の重要な瑕疵(かし)について買主に説明する法的義務があります。これを「告知義務」と呼び、特にフレームや骨格部に関わる損傷歴はその対象です。
つまり、修復歴があるにもかかわらず「修復歴なし」として販売された場合、重要事項の不告知=契約の瑕疵として契約解除や損害賠償の請求が可能となる場合があります。
契約書に「保証しない」と書かれていると無効になるのか
契約書に「事故歴や修復歴の保証はしない」と記載されていたとしても、それが実際の車両状態と著しく異なっていた場合には民法の「錯誤」や「不法行為」によって取り消しや損害賠償を求められる可能性があります。
ただし、相手が「確認していなかった」と主張すれば交渉が難航することもあるため、証拠が重要です。
有利に進めるために押さえておくべき証拠とは
- 契約書(事故歴・修復歴に関する記述)
- 販売時の車両状態説明書(「修復歴なし」の表記)
- 第三者機関や他の整備工場での修復歴報告書
- 購入後に判明した写真・報告書類
たとえば、ディーラーや認証整備工場の点検で「修復歴あり」「骨格部交換あり」と記載された報告書があると、非常に強力な証拠になります。
まずは販売店へ事実確認と誠実対応を要請
証拠が揃ったら、まずは販売店に事実を伝えましょう。内容証明郵便で「契約解除または損害賠償を求める意思」を伝えるのが望ましいです。口頭やメールだけでのやり取りでは証拠が残らないため注意が必要です。
誠実な業者であれば、返金や値引きといった解決を提案してくることもあります。
それでも解決しない場合は消費生活センターや弁護士へ
話し合いが平行線をたどるようであれば、消費生活センターや自動車公正取引協議会へ相談を。特に自動車公正取引協議会に加盟している業者であれば、指導や是正を求めることが可能です。
また、民事訴訟や簡易裁判による返金請求も視野に入れる必要があります。金額や精神的負担を考慮しつつ、法テラスなどの無料相談も活用できます。
遠方購入のリスクと今後の予防策
遠方からの購入の場合、実車確認が難しいため、こうしたトラブルに遭いやすい傾向があります。今後は「第三者の鑑定付き車両」や「認定中古車」を選ぶのも一つの対策です。
また、「契約書に事故歴の明記がない場合は口頭でも信用しない」「車両状態確認書の写しを保管する」など、より慎重な対応が必要です。
まとめ:泣き寝入りせず、正当な主張を
中古車購入後に事故車と判明した場合でも、証拠と法的根拠があれば返金や損害賠償の請求は可能です。まずは販売店に冷静に事実確認を行い、それでも解決しない場合は専門機関や弁護士の力を借りましょう。
悔しい思いを泣き寝入りにせず、法の力で適切な対応を取ることが、今後の消費者保護のためにもつながります。
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