ヤマハ・セロー225(ノーマル仕様)において、負圧キャブ特有の症状として「惰性走行後にアクセルを開けるとバボボボ…」といった不快なレスポンスが出ることがあります。このような症状は燃調の不適正に起因するケースが多く、キャブセッティングを見直すことで改善できる可能性が高いです。本記事では、その原因とセッティング変更の具体的なアプローチを詳しく解説します。
症状の把握|バボボボ現象は燃料が濃いのか薄いのか?
惰性走行後のアクセルオンで「バボボボ」と息継ぎする症状は、過渡域の燃料供給が不安定になっているサインです。
・プラグのネジ部が黒く煤けている
・電極部分はきれい
・チョークを引くと悪化
これらの要素から読み取れるのは、アイドリング〜低中速域でやや燃料が濃い(リッチ)傾向にあるという点です。特にチョークでさらに悪化するのは、濃い状態に燃料が追加されていることを意味します。
原因1:パイロットスクリューの設定が濃すぎる
バボボの多くは、アイドル〜開け始めの「パイロット系統」が原因です。特にパイロットスクリュー(エアスクリュー)の調整不良で燃料が過多になっている可能性があります。
対策:
まずはパイロットスクリューを「締め込み→規定戻し回転数」から徐々に調整。バボボが軽減する方向(締める=薄くする)に回転させながら様子を見る。
セロー225の純正戻し回転数はおおよそ1回転半〜2回転が目安です。
原因2:パイロットジェットが大きすぎる
燃調キット装着車や、何らかの経緯で番手が変更されている場合、過剰な燃料供給が起きやすくなります。
たとえば、ノーマルが#40に対して#42や#45が入っていると、薄くするどころかさらに濃くなりバボボ現象が発生しやすくなります。
対策:ジェットの番手を1サイズ下げてテスト。調整後は再びパイロットスクリューで微調整する。
原因3:ニードルのクリップ段数が濃い方向
アクセル開け始め〜1/4開度程度に関わるのがニードル段数。クリップが下段にあるほど燃料が多く出ます。
対策:現状のクリップ位置を1段上に変更してみる。これにより開け始めの燃料が抑えられ、バボボが軽減される場合があります。
調整の流れとセッティング手順
- 1. プラグ点検(黒い煤+電極白→濃い)
- 2. パイロットスクリューの調整(1/8〜1/4開度)
- 3. パイロットジェットの見直し(#40→#38など)
- 4. ニードル段数調整(開け始めの反応改善)
- 5. メインジェットの確認(フルスロットルでの伸びもチェック)
一度に複数の変更を加えず、1ステップずつテスト→確認→調整が基本です。
実例:セロー225オーナーのセッティング改善報告
Before:ノーマルパイロット#42、ニードル中段、パイロットスクリュー2回転戻し
症状:バボボ、始動性不良、アイドリング不安定
After:パイロット#40、ニードル1段上げ、パイロットスクリュー1.5回転
結果:始動性・アクセルレスポンスともに改善し、プラグもきつね色に安定
まとめ|セロー225のキャブセッティングは段階的調整で最適化を
セロー225の負圧キャブは、繊細ながらも適正化すれば非常にスムーズな吹け上がりが得られる構造です。「バボボボ」といった過渡域の不調は、多くの場合パイロット系統の燃料過多が原因。スクリュー、ジェット、ニードルの段階的な調整で確実に改善できます。キャブセッティングはトライ&エラーが基本ですが、焦らず一つずつ試すことが成功への近道です。
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