近年、外国免許からの切り替え制度によって発生した交通トラブルが社会問題として注目されています。特に、高速道路での逆走や重大事故の一因に外国免許の切り替えが関与しているケースも報告されており、その背景には制度上の“抜け穴”があるとの指摘もあります。本記事では、外国免許切り替え制度の概要と、その安全性にまつわる課題を掘り下げていきます。
外国免許切り替え制度とは
日本では一部の国・地域の運転免許証を持つ外国人が、筆記・技能試験を免除または簡略化した形で日本の運転免許に切り替えることができます。これは国際的な信頼に基づいた制度であり、例えばドイツやフランス、韓国などが対象です。
ただし、制度の対象外の国では「適性検査」「筆記試験(10問中7問以上正解)」「技能試験(通称:一発試験)」が課されます。技能試験の合格率は約30%とされますが、内容や評価基準が試験官によって差がある場合もあるため、客観性に疑問が残るとの声もあります。
なぜ“簡単すぎる”と感じるのか
筆記試験が10問で、うち7問正解で合格という形式は、日本の学科試験(95問)と比較すると非常に簡素に見えます。日本の免許試験に慣れている人から見れば「甘い」と感じるのも無理はありません。
また、視覚・判断・操作の3要素を求められる技能試験も、個々の採点基準が不透明であることから、公平性や実技能力の担保が課題視されています。
事故との関連性と懸念されるケース
一部報道によれば、外国免許の切り替え者による逆走事故や歩行者への衝突事故が発生しており、その運転技術や道路標識の理解不足が事故要因となっている場合もあります。
たとえば、小学生の列に突っ込んだ事件や高速道路での逆走事件が、免許切り替え者だったという例もあり、社会的な衝撃を与えました。これらの事例は制度そのものの見直しの必要性を浮き彫りにしています。
制度が“穴だらけ”になった背景
この制度の背景には、日本が国際交流・外国人労働者の受け入れを進める中で、免許取得の障壁を低くする必要があったという事情があります。
また、国によっては道路交通法が整備されており、信頼できると判断されている国も多い一方で、実態として運転マナーや道路事情は国によって大きく異なるため、単純な制度設計では安全を保障しきれない面があります。
制度見直しへの動きと今後の展望
現在、国土交通省や警察庁などは、一定の事故件数や報告をもとに制度の見直しを検討しています。中には、日本での運転に慣れるための実地研修の義務化や、技能試験の厳格化を求める声もあがっています。
また、AIや運転支援技術の進化により、今後は免許制度自体のあり方も大きく変わる可能性があります。
まとめ:利便性と安全性のバランスが課題
外国免許切り替え制度は、グローバル化と利便性を目的としたものであり、制度自体に悪意はありません。しかし、現場で発生している事故やトラブルは、その制度設計に見直しの余地があることを示唆しています。
交通安全はすべての人に関わる問題であり、今後もより公正かつ実効性のある制度づくりが求められています。
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