トヨタが開発した「水で走る車」の真相:水素自動車と水電解技術の現実

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近年、YouTubeなどで「トヨタが水を電気分解して水素を作り、その水素で走る車を開発した」といった情報が話題になっています。しかし、これらの情報の多くは誤解や誇張が含まれており、実際の技術とは異なる点が多々あります。本記事では、トヨタの水素技術の現状と、誤解されがちな点について詳しく解説します。

トヨタの水素技術の現状

トヨタは、燃料電池車(FCEV)「MIRAI(ミライ)」を開発・販売しており、水素を燃料として使用する技術に取り組んでいます。さらに、トヨタは水を電気分解して水素を製造する「水電解装置」を開発し、デンソー福島工場で稼働を開始しています。これは、再生可能エネルギーを利用して水素を製造し、工場の動力源として活用する取り組みです。

「水で走る車」は実現可能か?

一部の情報では、「車内で水を電気分解して水素を生成し、その水素で走行する車」が紹介されていますが、現時点でそのような車両は実用化されていません。電気分解には大量のエネルギーが必要であり、車内でリアルタイムに水素を生成して走行することは、エネルギー効率や安全性の観点から現実的ではありません。

水素自動車の仕組みと課題

燃料電池車は、外部で製造された水素を高圧タンクに充填し、車内で酸素と化学反応させて電気を生成し、モーターを駆動して走行します。この仕組みにより、走行中にCO₂を排出しないという環境性能の高さが特徴です。しかし、水素ステーションのインフラ整備や水素の製造コストなど、普及に向けた課題も存在します。

誤解を招く情報に注意

「水を入れるだけで走る車」や「水で走る車が実用化された」といった情報は、科学的根拠に乏しい場合が多く、誤解を招く可能性があります。トヨタの取り組みは、再生可能エネルギーを活用した水素製造や、燃料電池車の普及を目指すものであり、現時点で「水で走る車」が実用化されたわけではありません。

まとめ

トヨタは、水素を活用したクリーンエネルギー技術の開発に積極的に取り組んでいますが、「水で走る車」が実用化されたという情報は誤解です。燃料電池車や水電解装置の開発は進んでいますが、現実的な技術と課題を正しく理解し、誤った情報に惑わされないよう注意が必要です。

コメント

  1. 横山 勲 より:

    世の中には永久機関が実現できると誤解している人が結構いるようで、特許庁には毎年永久機関を発明したという特許申請が複数提出されているそうです。
    結論から言えば、ある系(大きく言えば宇宙)の中でエネルギーが移動すれば必ずエントロピーが増大します(というより、エネルギーを効率的に利用したり、永久機関が存在できないことを説明するために、数値で表したものがエントロピーの概念で熱力学のイロハです)。
    以前、「電動モーターに発電機を直結して発電した電圧を変圧器で上昇させ、その電気を電動モーターに繋げばモーターはドンドン速く回り・強力になるので地球のエネルギー問題は解決する」といった自称発明家がいましたが、トヨタの水エンジンも基礎知識に欠如が招いた議論です。

  2. 酒井 一郎 より:

    要は少量の電気(電池)を使う事で水素を取り込み走り続けられる。という半永久機関的な視点なのでは?

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