バイクのカスタムで人気の高い「クルクルテール」やLEDテールランプ。見た目の変化を楽しめる一方で、電装トラブルを招くこともあります。特にNC29(CBR400RR)などの旧車に12V/24V兼用のテールランプを装着した際に、アイドリング中のエンストやバッテリー上がりが起きるケースが報告されています。この記事では、その原因と対策を詳しく解説します。
NC29の電装系は12V専用
NC29を含む大半の市販バイクは12V電装システムを採用しており、すべての電装パーツは12Vに合わせて設計されています。一方で、「12V/24V兼用」と表記されたテールランプは、トラックなどの24V車でも使用できるよう設計されていますが、その構造がトラブルの原因になる場合があります。
特にLED製の汎用品は、内蔵抵抗や昇圧回路の影響で想定以上の電流を消費することがあり、旧車や発電能力の限られた車種には不向きなことも。
エンスト・始動不良の原因は「電力消費の増加」
バイクのエンジンがアイドリング中にエンストし、セル始動時にバッテリー上がりのような症状が出た原因は、電力の過剰消費または漏電が考えられます。
- 12Vシステムに対して24V耐性の回路が電圧不足で動作不安定
- テールランプがバッテリーに過剰な負荷をかけている
- 内部回路が常時通電状態になっており、走行後も放電している
その結果、アイドリング中に電圧が11V以下に落ちると、点火系や燃料供給系が不安定になり、エンストや始動困難に繋がることがあります。
取り付け前後の電圧を測定してみよう
実際にトラブルが起きた場合、まずは次の3つのポイントで電圧チェックを行いましょう。
測定タイミング | 正常電圧の目安 |
---|---|
バッテリー単体(エンジン停止時) | 12.5〜12.8V |
アイドリング時 | 13.0〜13.5V |
3000rpm以上回転時 | 13.8〜14.5V |
もしアイドリング中に12Vを下回っているようであれば、電力供給不足が疑われます。
安全なカスタムのための対処方法
12V/24V兼用テールランプによる不具合を防ぐには、以下のような対策が有効です。
- 12V専用のテールランプに交換:汎用品でも電圧が安定しているものを選ぶ
- 電源回路をリレー化:直接バッテリーから電源を引き、電流負荷を軽減
- 電圧計を取り付けて常時モニタリング
- アースの見直し:電装トラブルはアース不良から来ることも多いため
また、使用しているテールランプが「常時点灯」「流れるウインカー付き」などの場合、消費電力が純正より大幅に高い可能性もあります。
実例:カスタムでトラブルに遭遇したAさんのケース
NC29に社外テールランプ(24V兼用)を取り付けたAさんは、アイドリングで頻繁にエンストし、セル始動もできなくなったとのこと。ショップに相談した結果、内部回路に昇圧ICが入っており、常時1A以上の電流を消費していたことが判明。
純正テールに戻したところ症状は解消され、電圧も安定するようになりました。「見た目重視のカスタムも、電装には要注意」との声も。
まとめ:電装カスタムは仕様確認と電圧チェックが重要
12V/24V兼用のテールランプをNC29などの12V車に取り付ける際は、消費電力や内部回路の仕様をよく確認しましょう。エンストやバッテリー上がりは、電装系のバランスが崩れた結果起こるものであり、旧車ほどその影響は大きく出やすいです。カスタムを安全に楽しむためにも、正しい知識とチェックが欠かせません。
コメント