2024年、日産自動車が「過剰品質」の見直しによりコスト削減を進めると発表し、自動車業界やユーザーの間で話題になっています。「そもそも日産ってそんなに品質が良かったの?」「品質を落として大丈夫?」といった声も上がる中で、実際の日産の品質レベルや、今回の見直しの本質についてわかりやすく解説します。
「過剰品質」とは?その意味と業界の実情
過剰品質とは、ユーザーが求める以上の耐久性や性能を持たせることで、コストや工数が余計にかかってしまう状態を指します。たとえば、10年使っても壊れない部品を、ユーザーの平均使用期間が5年だった場合に使い続けるようなケースです。
一見、品質が高くて良いことのように思えますが、過剰な品質は価格競争力を損ね、利益率を圧迫する要因にもなるため、近年ではトヨタやホンダなども“適正品質”を見直す傾向があります。
日産の品質は本当に高かったのか?
実は、日産は1990年代から「耐久性」「剛性」「防錆性能」などにおいて非常に高い評価を受けてきたメーカーです。特に、スカイラインやシーマなどの上級モデルでは、欧州車に引けを取らない設計思想と品質基準を導入していました。
たとえば、日産の多くの車両では、サスペンション部品やエンジンマウントにおいて過剰ともいえる耐久性基準を採用していたことが、整備士や中古車市場でも話題になっています。
なぜ今、見直しに踏み切るのか?
日産は2020年代に入り、「EVへの投資」「円安による部材高騰」「グローバル競争激化」などの影響で収益性改善が急務となっています。その中で、“機能に影響を及ぼさない部分の品質を見直す”という方針が掲げられたのです。
例としては、
- 本来20年もつ樹脂部品を10年耐久レベルへ見直す
- 走行に影響しない内装裏側の素材を軽量・安価なものに変更
- 部品の共通化によって仕入れ価格を削減
などが挙げられます。これは「品質低下」ではなく「過剰品質の最適化」といえる戦略です。
品質低下につながる不安はある?
ユーザーとして心配なのは「耐久性が落ちるのでは?」という点ですが、日産は今回の見直しに際して安全性・性能・使用耐久には一切妥協しないと明言しています。
あくまで「ユーザーが気づかない部分」や「長期使用に不要な仕様」についての見直しであり、たとえば衝突安全性や走行性能には影響が出ないよう設計されています。
実際にトヨタやマツダでも似たような合理化は行われており、業界全体のトレンドでもあります。
日産が目指す品質とは「適正品質」
今回の見直しは、品質を落とすのではなく、ユーザーが実感できない“無駄”を省く方向へのシフトといえます。これは「過剰な安心感」より「ちょうど良い性能」と「価格バランス」を重視するという思想です。
たとえば、年間5000kmしか走らないユーザーにとって、50万kmまで耐える設計はオーバースペックである可能性が高く、それを10万km耐久に見直すことで価格を下げられるなら、ユーザー側にも恩恵があるという考え方です。
まとめ:過剰品質の見直しはむしろ“進化”の一歩
日産が進める過剰品質の見直しは、品質を落とすという誤解ではなく、ユーザー目線での最適なバランスを模索する取り組みです。
日産の車はもともと堅牢な設計で知られており、その品質の高さが今回の見直しの対象になっているともいえます。今後は価格と品質のバランスがより洗練され、ユーザーにとっても選びやすくなる可能性が高いでしょう。
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