カスタムカーやチューニングカーにおいて、足回りのパーツ流用は性能向上やコスト削減の手段として注目されるテーマです。とくに日産車はプラットフォームの共通化が進んでおり、スカイラインやフェアレディZなどのスポーツモデル間での互換性が話題になることも少なくありません。今回は、スカイラインHV37とZ33フェアレディZのアッパーアームを中心とした足回りの互換性や流用事例について深掘りしていきます。
HV37とZ33の基本的なシャシー構造の違い
スカイラインHV37はインフィニティQ50と同一の「FMプラットフォーム」を採用しており、前後マルチリンクサスペンションを採用しています。一方、Z33フェアレディZもFMプラットフォームを使用しているものの、設計年代が異なり、部品構造や寸法には違いがあるのが実情です。
つまり「基本設計は近いが、完全な互換性は保証されない」というのが前提となります。
前後アッパーアームの寸法と互換性
Z33とHV37では、見た目こそ似ている部分もありますが、ボディサイズや車重、設計思想の違いにより、アッパーアームの取り付けピッチやボールジョイントの位置などが異なる可能性が高いです。
V36スカイラインとZ33のアーム流用は一部実績がありますが、HV37(特にハイブリッド車)は重量配分や電子制御の絡みが強く、流用の難易度は上がります。
実際の流用事例と注意点
一部のDIYユーザーやショップのブログなどでは、Z33のリアアームやスタビリンクなどをV36に流用した例は報告されています。しかし、HV37でのZ33アーム流用事例はごくわずかで、特にボルトオンでの装着は難しいという情報が多く見受けられます。
万一装着できたとしても、アライメントが狂いやすくなり、車検非対応になるリスクもあるため、専門ショップでの加工・調整が必須です。
流用する場合のチェックポイント
- ボルトホールの位置とサイズ
- アーム長(センター間寸法)
- スタビリンクやショックとの取り合い
- ブッシュの可動範囲と材質
- 電子制御系(VDCやアクティブステアなど)の干渉有無
これらをすべて確認せずにパーツを装着するのは非常にリスクが高いため、日産ディーラーやチューニングショップへの相談が不可欠です。
加工流用と社外パーツの選択肢
HV37向けのアフターパーツは徐々に増えており、調整式アッパーアームや強化ブッシュが入手可能です。Z33のパーツを無理に流用するよりも、専用設計された社外パーツの方が安全で高性能な場合が多いです。
一例として、SPL PARTSやKTS、CUSCOといったブランドではHV37対応のサスペンションパーツを取り扱っています。
まとめ:Z33アームの流用は可能か?
結論としては、Z33のアッパーアームをHV37に流用するのは原則非推奨です。シャシー構造が似ていても、年式や目的が異なるため、取り付けには大幅な加工や調整が必要になります。
HV37には専用のアフターパーツが揃いつつあるため、安全性や性能を重視するなら、専用設計の社外品を選択することをおすすめします。
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