ゼファー400をはじめとしたキャブレター車では、ジェットのセッティングによってエンジン特性が大きく変化します。今回はパイロットジェットを38番、メインジェットを102番にしたことで低回転が「かぶる」ようになったケースをもとに、セッティングのポイントやその対処法を解説します。
そもそも「かぶる」とはどういう状態?
バイクにおける「かぶる」とは、混合気が濃すぎてスパークプラグが正常に点火しない現象を指します。具体的には、始動が困難になったり、エンジンがスムーズに回らず回転が上がらないといった症状が見られます。
特に低回転域でかぶる場合は、パイロット系統の濃さや点火系、チョークの影響が疑われることが多いです。
パイロットジェットとメインジェットの役割を正しく理解しよう
キャブレターには、エンジン回転数やスロットル開度に応じて混合気を供給する複数の回路があります。
- パイロットジェット(PJ):主にアイドリング〜1/4開度を担当
- メインジェット(MJ):主に3/4〜全開域を担当
したがって、低回転での不調はメインジェットではなく、パイロットジェットやエアスクリューの調整が影響していると考えられます。
38番のパイロットジェットが原因の可能性
ゼファー400のノーマル設定よりも番手が大きい38番に変更した場合、アイドリングから低回転までの燃料供給が多くなり、混合気が濃くなる傾向があります。
混合気が濃すぎるとスパークプラグが点火しにくくなり、かぶる原因になります。一度、純正番手またはそれに近い数値に戻すことを検討してみましょう。
メインジェット102番は低回転に影響しにくい
メインジェットはスロットルを大きく開けた時に主に作用するため、低回転ではあまり影響しません。ただし、負圧式キャブレターの場合、スロットル操作と連動してジェットが徐々に作用するため、極端に大きい番手だと回転全体に影響を与える可能性もあります。
ですが、今回のケースでの「低回転のかぶり」はやはりパイロット系統の濃さが主因と考えるべきです。
点火系やプラグの状態もチェックを
ジェットのセッティングに問題がなくても、スパークプラグがカーボンで汚れていたり、点火コイルが劣化していると正常に火花が飛ばず、かぶる原因になります。
実際にセッティング変更後は、プラグの焼け具合を点検し、黒く煤けているようであれば混合気が濃すぎるサインです。逆に白っぽい場合は薄すぎるサインです。
実例:セッティングによる変化の体感例
例えば、ノーマルPJ32.5から38番に変更した際、「エンジン始動直後から回転がもたつく」「暖気後でも低速域がスムーズに伸びない」などの症状が現れたとの報告があります。
その後、34番程度に戻したところでアイドリング安定とレスポンス向上が確認された事例もあります。このように、小さな変更でも体感的な差が出るのがキャブセッティングの難しさでもあり、面白さでもあります。
まとめ:まずはパイロットジェットの見直しを
低回転域のかぶりは、主にパイロットジェットの番手が大きすぎることが原因と考えられます。まずは純正近くの番手に戻して試すことをおすすめします。加えて、スパークプラグや点火系の点検も行い、総合的にコンディションを確認しましょう。
キャブレターセッティングは経験と試行錯誤がものを言う分野です。少しずつ変更して、確実な変化を確認しながらベストな状態を探っていくことが大切です。
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