テレビやネットで見かけるスズキやダイハツのCMに、人気俳優や女優が起用されているのを見て「本人はそんな車に乗っていないだろうに」と感じる人もいるかもしれません。しかし、こうしたCM起用にはマーケティング戦略上の明確な理由があります。今回は、芸能人が大衆車ブランドの広告塔になる背景や、それがもたらす効果について詳しく見ていきましょう。
大衆車に芸能人を起用する理由とは
まず最も大きな理由は「親しみやすさ」と「信頼性の演出」です。スズキやダイハツのような軽自動車やコンパクトカーを主力とするブランドは、購買層にとって親近感や安心感を持たせることが重要です。そこに登場する芸能人も、広く知られ、好感度の高い人物である必要があります。
たとえば、ダイハツのCMに出演していた吉岡里帆さんや高橋一生さんは、温和なイメージが強く、ターゲット層であるファミリー層や中高年層からの支持も厚いという特徴があります。実際に車に乗っているかどうかよりも、「この人が推しているなら安心」と思ってもらえる効果が期待されているのです。
芸能人本人は本当にその車に乗っていないのか？
確かに、年収が数千万円～億単位の芸能人がスズキやダイハツの車をプライベートで愛用している例は少ないかもしれません。しかし、これは食品CMや洗剤のCMと同じで、「その商品を使っているから出演する」というより、「ブランドイメージに合うから出演する」ケースが多いのです。
ただし、全く乗っていないとは限りません。実際に芸能人が「実家ではワゴンRに乗っていた」「スタッフと移動する時に軽自動車を使っている」といったエピソードを語ることもあり、ブランドの現実的な利用者層とのつながりを強調する演出も行われています。
広告戦略としての「乖離」をどう捉えるか
広告は本来、商品の魅力を最大限に伝えるための演出です。高級腕時計の広告に超一流のアスリートが出ているからといって、彼らが日常でもその時計をつけているかはわかりません。同じように、大衆車ブランドが芸能人を起用するのは、ブランドイメージの格上げや信頼感の醸成が目的です。
むしろ、もし無名の人物が登場していたら「この車は魅力がないのでは？」という印象を与えてしまう可能性もあります。芸能人の力を借りることで「この車でも充分魅力的」という価値訴求が成り立つのです。
CMが購買意欲に与える影響
CMを見て車を買うかどうかは、視聴者の価値観次第です。価格や燃費、乗り心地といった機能性に注目する人もいれば、「CMが好印象だったから」といったイメージで購入を決める人もいます。事実、軽自動車の購買動機において「見た目」や「ブランドイメージ」は無視できない要素となっています。
特に若年層や女性ドライバーにとっては、CMでの印象が実際の試乗のきっかけになるケースも多く、芸能人起用の効果は侮れません。
まとめ：広告は「信頼と印象」のための演出
芸能人がCMに登場する理由は、車の性能よりも「ブランドの印象づけ」にあります。たとえその芸能人が実際に乗っていなくても、視聴者にポジティブなイメージを持たせることができれば、CMとしての目的は達成されています。
広告を鵜呑みにするのではなく、情報の裏側にある戦略や狙いを知ることで、より賢く自分に合った車選びができるようになるでしょう。
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