旧車オーナーにとって、エンジンの調整やパーツ交換は楽しみであり挑戦でもあります。しかし、吸排気や点火系を変更してもアフターファイヤーが改善されないとなると、どこかに見落としているポイントがあるかもしれません。本記事では、SUツインからソレックスへ交換しても改善されないアフターファイヤーの原因を掘り下げていきます。
そもそもアフターファイヤーとは何か?
アフターファイヤーは、排気管内で未燃焼の燃料が点火されて「パンッ」という音を立てる現象です。軽度であれば味とも取られますが、頻繁で大きな音の場合は調整や点検が必要です。
特にキャブ車では吸排気の調整がシビアであり、現象を無視するとエンジンやマフラーに悪影響を与える可能性があります。
混合気の濃さだけで判断するのは危険
ネット上では「混合気が薄いとアフターファイヤーが出やすい」という情報が多数見られますが、プラグの焼け色が良好であれば、空燃比は大きな問題ではない可能性が高いです。
例えばソレックスキャブ+BP5ESプラグで「きつね色」に焼けていれば理想範囲内と言えるでしょう。したがって、それ以外の要因に目を向ける必要があります。
チェックすべき点火系のポイント
点火時期がズレていると、排気側で燃焼が起こることがあります。L20エンジンでアイドリング15度は標準的ですが、進角の動作確認(メカ・バキューム)が不十分だと意図せず進角している可能性も。
また、イグニッションコイルやデスビ内部のコンデンサー劣化、あるいはプラグコードのリークなども見逃せません。
マフラーや排気系の状態にも注目
デュアルマフラーに変更している場合、背圧や排気流速が変化し、未燃焼ガスが溜まりやすくなっている可能性があります。マフラーの隙間やフランジ部の排気漏れも引火のきっかけになります。
一度、エキマニからマフラーエンドまでの締め付け、ガスケットの状態、腐食などを点検してみましょう。
バルブタイミングやカムシャフトにも目を向けよう
SUからソレックスに換装した際にハイカムへ変更していないかも確認ポイントです。バルブのオーバーラップが大きくなると、排気側に混合気が流れ込みやすくなるため、アフターファイヤーの原因になります。
また、L型エンジン特有のバルブクリアランス調整ミスも同様の現象を誘発することがあります。
実例:同様の症状で「IGコイル交換」が決め手に
あるユーザーは、全く同じようにSU→ソレックスに換装し、プラグ焼けは良好、混合気も適正でしたが、アフターファイヤーが収まらず困っていました。
結果、原因は旧いIGコイルの劣化で、高回転域での火花が弱くなっており、排気側へ未燃焼ガスが流れ込んでいたと判明。新品の高性能IGコイルに交換したところ改善されました。
まとめ:複合要因を一つずつ検証するのが近道
アフターファイヤーは単なる「薄い混合気」だけでは説明できない複雑な現象です。ソレックスに換装しても症状が続く場合は、点火系、排気系、バルブタイミング、燃焼条件を一つずつ丁寧にチェックすることが大切です。
旧車は小さな調整が大きく影響を与える繊細な機械。焦らず丁寧に、不調の根本原因に近づいていきましょう。
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