通学・通園バスが停車して園児などが乗り降りしている場面を見かけることはよくあります。その際に「後続車は一時停止しなければならない」という認識を持つ人も少なくありません。しかし、この場面で一時停止が法律上の義務かどうかは、意外と誤解されやすいポイントです。本記事では交通法規に基づいて、正しい対応を解説します。
通学・通園バスに関する道路交通法の基本
日本の道路交通法において、一時停止が義務付けられているのは「スクールバス」ではなく、「路線バスが停留所で停止している場合に、安全に通行できないとき」です。通学・通園バスが該当する明確な規定は存在しません。
そのため、通園バスの後方に停車しているだけで一時停止義務があるわけではなく、状況に応じて徐行または停止が求められるにとどまります。
一時停止が正解でない理由とは
設問の文は「一時停止しなければならない」と断定していますが、法令上そのような義務規定はありません。したがって、「×」となるのです。
たとえば、園児の乗り降りが安全に行われており、十分な距離と注意をもって徐行して通過できる状況であれば、一時停止までは求められません。
実際の運転での注意点
一時停止が義務ではないとはいえ、通園バスの周囲には子どもが飛び出す可能性が高く、運転者としては最徐行または停止して安全を確認する姿勢が非常に重要です。
特に、園児の乗降が行われている最中は予期せぬ動きに備える必要があり、注意義務を怠った場合には過失として問われる可能性もあります。
スクールバスと通園バスの法的区別
「スクールバス」として都道府県公安委員会の指定を受けた車両は、児童の安全確保のため特別な標識や運行義務があり、それに伴う交通規制が課される場合があります。
一方、幼稚園や保育園の通園バスはこの指定を受けていないことが多く、法律上の扱いが異なります。つまり、特定の法的保護があるかどうかが大きな分かれ目です。
子どもを守るのは運転者のマナーと配慮
法令上の義務がないとはいえ、命を守るという観点からは法のグレーゾーンでも「停止する判断」を選ぶことが社会的にも求められています。
また、近年では自治体によっては通園バス停車時に注意喚起の標識を設ける取り組みも始まっており、安全意識の高まりが見られます。
まとめ:義務ではなくても「止まる心」が安全を生む
通学・通園バスの後方での一時停止は法的には義務ではないため、設問は「×」になります。ただし、園児の安全を守るためには一時停止や最徐行を積極的に行うことが理想的です。
交通ルールは「守るべき最低限」であり、「子どもの命を守る行動」は常にそれ以上の配慮が求められるという姿勢で運転したいものです。
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