高齢者の免許更新と運転技能検査の対象者とは?事故歴があっても検査対象にならないケースを解説

運転免許

75歳以上のドライバーが免許を更新する際には、「認知機能検査」や「高齢者講習」の受講が義務付けられています。2022年の制度改正で「運転技能検査(実技試験)」が導入されたことで混乱も見られますが、すべての高齢者がこの実技試験を受けなければならないわけではありません。今回は、事故歴があっても運転技能検査の対象とならないケースや、制度の仕組みを分かりやすく解説します。

運転技能検査とは?誰が対象になるのか

運転技能検査は、2022年5月13日以降に75歳以上で一定の違反歴がある人を対象に導入された新制度です。この検査は、主に認知機能に問題がある可能性がある人の運転能力をチェックするために実施されます。

具体的には、以下のような交通違反が過去3年間に1回でもあると、運転技能検査の対象になります。

  • 信号無視
  • 通行区分違反
  • 速度超過(15km/h超)
  • 一時停止無視
  • 安全運転義務違反(事故関連の違反含む)

逆に言えば、これらの違反に該当しなければ、事故歴があっても運転技能検査は課されないのです。

物損事故と行政処分の関係

「事故を起こしたから運転技能検査の対象になるのでは?」と思う方も多いですが、それは誤解です。行政処分上、相手にけががなければ「点数加算」が発生しないケースが大半です。つまり、物損事故にとどまる場合、多くは「違反歴」としてカウントされないのです。

たとえば、交差点で右折車と接触したものの、相手が無傷で物損扱いとなった場合、その事故は点数にも記録にも残らず、運転技能検査の対象外となります。

高齢者講習と認知機能検査の流れ

75歳以上になると、免許更新前に認知機能検査を受ける必要があります。検査の結果に応じて、次の3つの区分に分かれます。

  • 記憶・判断力に問題なし:→ 高齢者講習へ
  • 記憶・判断力が低下:→ 高齢者講習+臨時適性検査や医師の診断対象
  • 一定の違反歴あり:→ 運転技能検査(技能不合格だと更新不可)

つまり、違反歴がなければ、認知機能検査の結果に関係なく運転技能検査は不要となります。

身分証明書として免許を保持するという選択肢

運転はしないけれど、免許証を「顔写真付き身分証明書」として使いたいという人は少なくありません。運転技能検査や認知機能検査に合格すれば、免許証を所持し続けることは可能です。

ただし、今後も制度変更の可能性があるため、警察庁の最新情報を確認することが重要です。また、運転を完全にしないと誓う場合は、代替手段として「運転経歴証明書」の取得も検討できます。

実際のケースから見る検査対象の判断例

たとえば、以下のような事例が考えられます。

  • 例1:信号無視で青切符→運転技能検査の対象
  • 例2:接触事故だが、物損扱いで点数加算なし→対象外
  • 例3:一時停止違反で反則金→対象
  • 例4:駐車違反や車線変更ミス→対象外の場合が多い

つまり、「事故=技能検査対象」という誤解は避けるべきです。

まとめ|事故歴だけでは技能検査の対象にはならない

75歳以上の免許更新で運転技能検査を受けるかどうかは、「認知機能検査の結果」だけでなく「過去3年間の違反歴」によっても大きく左右されます。物損事故で行政処分がなければ、多くの場合、技能検査の対象にはなりません。

制度は年々変化しているため、家族で正しく理解し、本人の安全と尊厳の両立をサポートしていくことが大切です。

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