「部品を交換したのに、症状はまったく変わらない」。そんな経験をした方も少なくないかもしれません。自動車修理において、特に原因特定が難しい不具合に対して「ここが怪しい」と修理を行ったものの、結局直らなかった──。その場合、果たして修理費用は支払う義務があるのでしょうか?この記事では、自動車修理の契約形態や法的考え方、実際のトラブル例などから、支払い義務の有無についてわかりやすく解説します。
自動車修理は「請負契約」か「準委任契約」かがカギ
自動車修理の契約は、大きく分けて「請負契約」と「準委任契約」の2種類が考えられます。
請負契約であれば、成果物(=直った状態)を提供する義務があるため、直らなかった修理に対しては報酬請求は原則不可となる可能性があります。
一方で準委任契約の場合は、「適切な努力を尽くすこと」に対して報酬が発生するため、たとえ修理結果が伴わなくても、業者が合理的に診断・修理を行っていれば支払い義務があるケースも存在します。
修理前の説明責任が重要になる場面も
見当違いの修理だったとしても、整備工場側が事前に「直る保証はない」「原因特定のための部品交換」であることを丁寧に説明し、客が納得して了承していた場合、その修理費用は請求されても支払う義務が生じる可能性が高くなります。
逆に説明が曖昧だったり、「これで直ります」と断定的に説明していた場合には、修理が無駄に終わったとして損害賠償や減額交渉が可能になることもあります。
実例:燃料ポンプを交換したが症状改善せず
たとえば「エンジンがかかりにくい」と訴えていた車に対し、整備工場が燃料ポンプを交換。しかし実際はセンサー不良が原因で、ポンプ交換では直らなかったという事例では、事前に「診断の一環としての交換」である旨が説明されていたため、全額支払いが発生したというケースがあります。
一方で、「これで絶対直ります」と言われて高額な部品交換を行い、症状が変わらなかった場合、消費者センターなどを通じて返金や減額対応を受けたケースもあります。
消費者としての交渉のポイント
- 診断内容や作業範囲を書面で残す(見積書や同意書)
- 「これで直る」と断定された場合はその記録を確保
- 万一の未解決時の対応(保証や再修理)について確認
後からの「言った/言わない」のトラブルを防ぐためにも、修理に関する事前説明はしっかり確認し、必要であればメモや録音を残しておきましょう。
まとめ:支払い義務は「契約の内容次第」
直らなかった修理でも、診断と説明が適切に行われていれば支払い義務は生じる可能性があります。ただし、明確なミスや説明不足があった場合は、支払いの一部または全額を免除できる場合もあるため、まずは整備工場と冷静に話し合いましょう。
納得がいかない場合には、自動車整備振興会や消費生活センターへの相談も選択肢となります。
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