日本を代表する自動車メーカーである日産自動車。しかし近年、かつての勢いを失い「業績不振」「ブランドの陰り」などと語られることが増えました。本記事では、日産が抱える課題とその背景、そして巻き返しへのヒントについてわかりやすく解説します。
ゴーン体制崩壊後の経営混乱
日産の混迷は、2018年のカルロス・ゴーン氏逮捕事件以降、急激に深まりました。長年のリストラ・コストカットによって短期的な利益は出ていたものの、「技術革新」「商品力の強化」などの長期戦略が後手に回っていたのです。
経営トップの逮捕により、日産とルノーの関係も悪化。統治体制やガバナンス面でも大きな課題を露呈しました。
魅力的な新型車の不足とブランドイメージの低下
トヨタやホンダが次々と魅力的な新車を投入する中、日産はモデルチェンジの遅れや商品力の劣化が目立ちました。特にミドルセダンやコンパクトカーでは競争力が落ちており、ユーザーの関心が薄れています。
たとえば、「セレナ」や「エクストレイル」など人気車種のフルモデルチェンジは他社に比べて数年遅れとなり、購買意欲を削いだ一因とされています。
EVで先行しながらリーダーになりきれなかった
日産は2010年に世界初の量産型EV「リーフ」を発売し、当初はEV市場のリーダー的存在でした。しかしその後の開発スピードや商品力ではテスラや中国勢に遅れを取り、「先行逃げ切り型」の戦略に失敗した印象を残しました。
現在も「アリア」など新型EVを展開しているものの、販売台数やインフラ整備では他社に水をあけられている状況です。
中国市場の苦戦と世界販売の減速
日産は中国市場での販売台数が大きく落ち込んでいます。これは中国メーカーの台頭、EV移行への遅れ、ディーラーネットワークの問題など複合的な要因が影響しています。
さらにロシアからの撤退や欧州での競争激化も加わり、グローバル全体での販売力が落ち込んでいるのが現状です。
希望の光も?国内復調の兆しと再建への一歩
一方で、2023年以降に登場した新型セレナやエクストレイルなどは市場で好調な反応を得ており、国内では徐々に存在感を取り戻しつつあります。e-POWERや電動化技術も評価されており、今後の商品展開次第では巻き返しも可能です。
また、三菱・ルノーとのアライアンス再構築やソフトバンクとの提携など、次の成長戦略に向けた布石も打たれています。
まとめ|日産が再び信頼を得るために
日産の苦境は、単なる「売れていない」問題ではなく、長年の経営戦略、商品力、国際関係など複数の課題が絡み合った結果といえます。現在は再建期にあり、徐々に兆しも見え始めています。
ユーザー視点に立った車作り、EV戦略の再強化、ブランド力の再構築ができれば、再び日本・世界での信頼を取り戻す可能性は十分あります。今後の日産の動向から目が離せません。
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