中古車選びや車の売却を考えているとき、「走行距離をリセットしたい」と思うことがあるかもしれません。しかし、走行距離の改ざんは非常に重大な問題であり、法律違反となる可能性があります。この記事では、車の走行距離の仕組み、なぜリセットできないようになっているのか、そして法的なリスクについて詳しく解説します。
走行距離メーターの仕組みとは?
現代の自動車のほとんどは「電子式オドメーター」を採用しています。これは車のECU(電子制御ユニット)と連動しており、走行距離が車両のコンピューター内にデジタルで記録される仕組みです。
このため、物理的にメーターをいじるだけでは距離の変更ができないようになっており、万が一不正に書き換えても整備履歴や車検証との矛盾で発覚しやすくなっています。
走行距離のリセットは法律違反に該当する
走行距離を故意に減らしたり書き換えたりする行為は、不正競争防止法や詐欺罪などに問われる可能性があります。
たとえば、中古車を販売するために意図的にメーターを戻す行為は、刑事罰の対象となり、罰金や懲役刑を受けるリスクがあります。国土交通省や中古車業界団体も厳しく監視しており、不正が発覚した場合には社会的信用も大きく失われます。
走行距離が“リセットされる”例外的なケース
以下のような例外的ケースでは、走行距離がリセットされたように見えることがあります。
- メーター交換後に初期化(メーター交換記録簿の提出が必要)
- 事故修理時の誤設定(記録簿で正当な修理か確認される)
- メーターが完全故障し、正確な走行距離が不明となった場合
こうしたケースでは、車検時に走行距離計交換の記録を提出し、車検証に「交換済み」と記載することで整合性が保たれます。
中古車購入時に走行距離をチェックするポイント
車を購入する際には、以下の方法で不正がないか確認しましょう。
- 車検証記載の過去の走行距離と現メーター値を比較
- 整備記録簿や点検ステッカーを確認
- 車両状態証明書(JAAA、AISなど)の有無
- 異常なほどに内装やペダルが摩耗していないか観察
「年式の割に距離が短すぎる」場合は注意が必要です。
「距離をリセットしたい」と感じたときの代替策
売却価格や見た目の印象から「距離を消したい」と思うこともあるかもしれませんが、正しいアプローチは以下の通りです。
- 定期整備をして記録簿を残す(信頼性アップ)
- 車両の清掃やコーティングで外観を整える
- 低走行をアピールしたい場合は、サブメーターや走行ログを活用
数字をいじるのではなく、誠実な管理とメンテナンスこそが車の価値を高めます。
まとめ:走行距離のリセットはできないし、すべきではない
現代の車では走行距離のリセットは技術的にも困難であり、法的・倫理的にも許される行為ではありません。
車の信頼性と資産価値は「誠実な履歴管理」があってこそ守られます。リセットよりも、正しい整備と記録の蓄積で、次のオーナーにも安心して引き継げる車を目指しましょう。
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