バイクをカスタムする際、マフラーの交換は見た目や音、性能の変化を実感しやすい人気のパーツです。特にキャブレター(キャブ)仕様の車両では、マフラー交換後にエンジンの調子が悪くなるというトラブルが起こることがあります。この記事では、なぜキャブ車にマフラーを交換すると不調が起こるのか、その仕組みや対策についてわかりやすく解説します。
キャブ車とインジェクション車の違い
まず、キャブ車とはキャブレターという機械式の装置でガソリンと空気の混合気を作り出すバイクのことです。近年のバイクの多くは、電子制御のインジェクション(FI)車ですが、キャブ車は調整の自由度が高く、旧車ファンを中心に根強い人気があります。
しかし、キャブ車は吸排気のバランスに敏感なため、マフラー交換などで排気の流れが変わると燃調(燃料の供給バランス)に影響が出て不調になることがあります。
マフラー交換が不調につながる理由
純正マフラーはエンジンやキャブレターと最適なバランスで設計されています。マフラーを社外品に交換すると、排気抵抗が変わり吸排気の流速や圧力に変化が生じます。
たとえば、排気がスムーズに抜けすぎると空気が多くなりすぎ、ガソリンの供給量が相対的に足りなくなる「リーン(薄い)状態」になり、エンジンが息つきしたり、始動性が悪化する原因になります。
主な不調の症状とそのチェックポイント
- アイドリングが不安定になる
- アクセル開け始めに息つきやボコつきがある
- 回転の伸びが悪くなる
- エンジンがかかりにくくなる
- アフターファイア(パンパン音)が起きる
これらの症状が出た場合は、燃調が合っていないサインの可能性があります。
マフラー交換後のセッティングが重要
マフラーを交換したら、キャブレターのジェット類(メインジェット・スロージェット)を交換して燃料の流量を調整する必要があります。さらに、エアスクリューやアイドルスクリューなどで細かい調整も必要になります。
特に全開域での調子を見ながらメインジェットの番手を変えていくのが基本です。プラグの焼け具合や排気音などを見て調整する「セッティング」は、キャブ車ならではの楽しさでもあります。
実例:NSR50でのマフラー交換と調整例
たとえば、ホンダNSR50に社外チャンバーを取り付けた場合、ノーマルキャブのままだと高回転が伸びなくなることがあります。そこでメインジェットを5番程度大きくし、エアスクリューを調整したところ、アクセルの付きが向上し再び元気な走りを取り戻したという報告があります。
ショップでのセッティングを依頼するのも選択肢
セッティングには経験や知識が必要なため、自信がない場合はバイクショップに依頼するのが安心です。マフラー交換時に一緒にセッティングまでやってもらえるケースも多いです。
料金は5,000円〜1万円前後が相場ですが、車種や内容により異なります。
まとめ:キャブ車のマフラー交換は“燃調”がカギ
キャブ車にマフラーを交換すると調子が悪くなるのは、吸排気バランスの変化が燃調に影響を与えるためです。しかし、適切にジェットやスクリューを調整することで、本来の性能を引き出すことも可能です。
マフラー交換をきっかけにキャブセッティングに挑戦してみるのも、バイクカスタムの醍醐味といえるでしょう。
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