ヤマハR1-Zは90年代を代表する2ストローク並列2気筒マシンで、独自のフィーリングと構造を持つ名車です。しかし近年、「片肺症状」が出る個体も増えており、特にチョーク操作時に左右が交互に死ぬような現象は、多くのオーナーを悩ませています。本記事ではこのような症状の原因と対策について詳しく解説します。
チョーク操作で左右交互に失火する症状の正体
チョークONで右側が死ぬ、OFFで左側が死ぬ――これは単なる燃調のズレではなく、左右のキャブレターに不均等な状態変化が起きている可能性が高いです。
R1-Zのようなツインキャブ構造では、キャブ内部の汚れ・詰まり・フロート不調・エア吸いなどが左右どちらか一方に起きると、このような非対称な症状が出やすくなります。
チェックポイント① キャブレターの詰まり・バランス不良
片肺の主因で多いのがキャブの詰まりです。特にスロージェットやエア通路が詰まると、アイドリングやチョーク時の挙動に大きく影響します。
片方だけが極端にリッチ(濃すぎる)・リーン(薄すぎる)になると、燃焼不良→失火となり、チョークで逆の側が死ぬように感じるのです。
チェックポイント② オイルポンプやチャンバー内部の状態
R1-Zは分離給油のため、オイルポンプの不均等吐出や、片側チャンバーにオイルが溜まっているケースもあります。
オイル溜まりが原因で一時的に白煙&片肺になるケースでは、チャンバーの脱着・内部清掃が必要になることもあります。
チェックポイント③ 点火系トラブル(CDI/コイル/プラグ)
点火プラグが片方だけ不調の場合(被りやすい、火花が弱い)、キャブが正常でも失火します。左右のプラグを入れ替えてみて症状が左右移動するかを試すと、点火系の切り分けができます。
また、プラグキャップやイグニッションコイルの抵抗値チェックも重要です。年式的にハーネス腐食や接点不良も多いです。
チェックポイント④ インシュレーターの劣化による2次エア吸い
経年劣化でインマニに亀裂が入っていると、片側だけエアを吸って混合気が薄くなる→失火という流れが起きます。
キャブクリーナーをインマニに軽く吹きかけてアイドリングが変化する場合、2次エアを疑ってよいでしょう。
実例紹介:同様の症状から復活したR1-Z
あるR1-Zオーナーは、「チョークで片肺→逆チョークで逆側が片肺」に悩まされ、キャブを徹底分解洗浄。結果、エアスクリューとスロージェットの詰まりが原因と判明し、バランス調整後は症状が解消しました。
さらに点火コイルの片方が内部断線気味だったため、DAYTONA製補修コイルに交換して安定した始動と燃焼状態を取り戻しました。
まとめ:チョークで左右が交互に死ぬ症状はキャブ&点火系の総合チェックを
・左右非対称な失火は、キャブ内部の詰まり・エア吸い・燃調バランス崩れが主因
・点火系(プラグ、CDI、コイル)やオイル系統の不均等も要注意
・チョーク時の挙動は「濃すぎる」か「薄すぎる」かの指標になる
・バイク屋に頼む場合も、事前に症状と条件を詳細に伝えるのが早期解決の鍵です
R1-Zの魅力を存分に楽しむためにも、定期的なメンテと観察が重要です。症状が出たら、焦らず一つ一つチェックしていきましょう。
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