2ストロークバイクのチューニングやメンテナンスにおいて「混合仕様化」は定番カスタムのひとつです。NS-1やNSR50、NS50Fといったホンダの50ccスポーツモデルでも、オイルポンプを外して混合給油に移行するケースがあります。しかしその際、クラッチカバー内部の白いオイルポンプギアをどうすべきか、判断に迷うユーザーも多いのが実情です。
混合仕様にする理由とそのメリット
2ストオイルをあらかじめガソリンと混ぜる「混合仕様」は、オイルポンプの経年劣化やトラブルのリスクを避けられるという点が最大のメリットです。特にサーキット走行や街乗りでの確実な潤滑管理をしたい人に選ばれています。
また、軽量化や整備の簡略化にもつながるため、旧車オーナーの間でも人気のカスタム方法です。
クラッチカバー内の白いギアは外すべきか?
オイルポンプ本体を外してメクラするだけであれば、クラッチカバー内の白いギア(オイルポンプ駆動ギア)を残していても、基本的に問題は発生しません。
このギアはオイルポンプシャフトと噛み合って動力を伝えている部品ですが、シャフトが無ければ空回りもせず、単なる“死にパーツ”になります。フリクションの影響も軽微で、走行性能への影響は無視できる程度です。
なぜ外すことを推奨されるのか?
一部の有識者やレースメカニックが「ギアも外せ」と言うのは、以下の理由によります。
- 完全な駆動系整理:ギア残しによる僅かな回転抵抗を嫌う場合
- 経年劣化対策:ギアが割れたり、ギアの破片がクラッチ室に散乱する可能性を排除したい
- 見た目の整理:完全に役目を終えたパーツは外したいという整備美学
ただし街乗りユーザーやレース非参戦ユーザーにとっては、これらはあくまで“こだわり”の範囲に過ぎません。
作業の難易度と実作業の流れ
クラッチカバーを開けてギアを外すには、クラッチユニットも一時的に取り外す必要があります。特殊工具(クラッチホルダーやロックレンチ)が必要になる場面もあるため、初心者にとっては手間が大きくなります。
このため、多くのユーザーは「オイルポンプのみ取り外して、ギアは残す」方法で混合化を行っています。特に街乗りを前提とするなら、それで十分といえるでしょう。
オイルポンプを外す際の注意点
混合仕様に切り替える際には、オイルポンプの取り外し後、以下の点に注意しましょう。
- オイルポンプ用の穴は必ずメクラ蓋かプレートでしっかり密閉すること
- 燃料混合比(例:50:1や30:1)を車種や用途に合わせて設定する
- 燃料タンクやキャブのフューエルラインに残った旧オイルの確認・洗浄
特に混合比のミスは焼き付きやカーボン蓄積の原因になりますので、慎重に行いましょう。
まとめ:用途と整備環境に応じて柔軟に判断しよう
NS系の混合仕様化において、クラッチカバー内のオイルポンプギアを外すかどうかは、用途と作業環境に応じた“選択の問題”です。
街乗りや軽整備レベルなら、ギアを残しても実用上の問題はほぼありません。 ただし、完璧を目指したい方や今後レース参戦を考えている方は、時間のあるときにギアも外して整理しておくとよいでしょう。
無理せず、自分のレベルと目的に合った整備判断を行うのが一番の安全策です。
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