電気自動車(BEV)の環境負荷について、製造時のCO2排出量は多いが、走行中にそれを回収できるのかという点に関心が高まっています。本記事では、EVとハイブリッド車のCO2排出比較と、再生可能エネルギーの利用による環境負荷低減について詳しく解説します。
■EVは製造時にCO2を多く排出するのは本当か?
一般的に、EVは大容量バッテリーを搭載するため、その製造過程で多くのエネルギーを消費し、ハイブリッド車(HEV)に比べて1.2倍〜1.5倍のCO2が排出されるとされています。
たとえば、HEVの製造時のCO2排出量が5トンであると仮定すると、EVは6トン〜7.5トンになる計算です。
■走行距離で製造時の差を回収できる?
EVは走行時に排出ガスを出さず、HEVはガソリンを使うため走行中もCO2を出します。このため、EVは走るほどに「環境負荷の回収」が進むという構造です。
複数の研究によると、再生可能エネルギー100%で充電した場合、製造時に多く排出されたCO2は、おおよそ3万km〜5万km走行することでHEVとの差を埋めるとされています。
つまり、5年〜7年程度の通常走行で「元が取れる」イメージです。
■実際の電力事情は?再エネ100%は現実的か
2025年現在、日本の再生可能エネルギー比率は約22%前後。再エネ100%はまだ現実的ではありませんが、充電時間帯を夜間にすることでCO2排出の少ない電源を使える可能性が高いです。
また、今後太陽光や風力の導入が進むことで、「EVがよりクリーンに」なるスピードは加速していくと予測されます。
■走行距離が増えるほどCO2差は広がる
走行距離が長くなるほど、EVとHEVの差は広がります。特に5万kmを超えるあたりから、EVの方が圧倒的に低排出となる傾向が顕著になります。
例:
・HEV:10万kmで累積排出量=製造5t+走行6t=11t
・EV:製造7t+再エネ充電で走行0.5t=合計7.5t
→ 差は3.5tにも広がります
■CO2だけでなくランニングコストも有利
EVはガソリンを使わず、電費(1kWhあたりの走行距離)に優れるため、日常のコスト面でもHEVより有利です。またメンテナンス費用も低く済むことが多いため、経済面でも差は広がっていきます。
■まとめ:EVのCO2排出は時間とともに優位性が増す
EVは製造時に多くのCO2を排出するものの、再エネを活用した充電と長距離走行によって、その差を数万キロで回収でき、その後は「走れば走るほど環境にやさしい」という構図になります。
再エネの導入が進めば、この差は加速度的に広がっていくため、将来を見据えたモビリティ選択としてEVはますます有望です。
コメント