バイクの電動化や速度制限によって、自転車や原付として扱えるのでは?と考える方もいるかもしれません。とくに近年は原付1種の上限緩和や電動モビリティの台頭で、制度への関心が高まっています。本記事では、法令や構造要件、過去の事例をもとに「排気量が大きいバイクを改造すれば軽車両扱いになるのか?」について解説します。
道路交通法・道路運送車両法が定める「自転車」とは?
まず、自転車として扱われるには「人の力のみ、またはこれに補助的動力を加えたもの」である必要があります。これは道路交通法第2条第1項に定義されています。補助動力であっても、16km/hで補助が止まるなどの規定もあるため、「20km/hしか出せないようにしても自転車扱い」には基本なりません。
仮にモーター出力を抑えても、車体構造がバイクであれば軽車両の基準から外れます。法的には動力源だけでなく、構造・用途・サイズも影響します。
速度制限しても車検や登録義務は消えない
仮に900ccのバイクを20km/h制限に改造しても、バイクの原型や車台番号、車格が維持される限り「二輪車(大型自動二輪)」のままとなります。よって、車検・登録・自賠責・ナンバー取得義務は消えません。
また、車体に改造履歴がある場合でも、登録解除(抹消登録)されない限りは、陸運局により「有効な登録車両」として認識されます。
電動アシスト自転車やミニカーとの違い
電動アシスト自転車は、人力が主で電動モーターが補助する構造。日本ではモーター出力は0.6kW以下、補助は24km/hまでが上限です。一方で、自走式(スロットル操作のみ)の原動機付き車両は、構造上すべて「原付以上」に分類されます。
たとえば、小型の電動バイクを法令に従いミニカー登録することは可能ですが、それでも登録・ナンバー・保険は必須で、車検こそ不要でも軽自動車税や法的責任は伴います。
「モーターの出力を制限すればOK」は危険な誤解
改造バイクを自転車扱いで無登録・無保険のまま公道を走らせれば、無免許運転・無保険運行などの複数の違反が問われる可能性があります。過去にも同様の認識で摘発された例はあります。
特に現代はナンバー取得や車台番号の照合が厳格化されており、改造車の取扱いにも法的厳格さが増しています。善意でも「知らなかった」では済まされません。
合法的な運用方法は?抹消登録と私有地利用
どうしても「速度制限した電動化車両」を使用したい場合は、運輸支局での抹消登録を行い、私有地やサーキット内での使用に限定するのが唯一の合法ルートです。
その上でナンバーや保険が不要な環境で楽しむことができれば、違法性はなくなります。ただし、抹消後の公道走行はできません。
まとめ:速度や出力だけで「自転車扱い」にはならない
✅ バイクの改造で出力や速度を落としても、登録・構造・使用目的によって法律上の分類は変わりません。
✅ 原則として車体構造や登録記録に基づき、二輪車・ミニカー・軽車両などの分類が維持されます。
✅ 法令を理解しないまま改造や運用を行うと違反の可能性が高く、現実的には抹消登録→私有地運用以外に安全策はありません。
正しい知識で法令順守しながら、電動モビリティを安全に楽しみましょう。
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