初めてのバイクとしてアメリカン(クルーザー)を選ぶ場合、シャドウ、ドラッグスター、イントルーダークラシックなどは有力な候補です。ただし、見た目が似ていても車重やエンジン特性、取り回し、必要な免許などに違いがあります。特に400ccと750ccでは必要となる免許区分も変わるため、車両だけでなく免許取得費用や維持費まで含めて考えることが重要です。
この記事では、初めてアメリカンバイクを購入する人を想定し、400ccと750ccの違い、シャドウ・ドラッグスター・イントルーダークラシックを選ぶポイント、長距離ツーリングとの相性、そして免許代と車両代を合わせて100万円程度に収めたい場合の考え方を解説します。
まず知っておきたい400ccと750ccの大きな違い
最初に確認したいのが免許です。400ccクラスの二輪車なら普通自動二輪免許で運転できますが、400ccを超える750ccクラスを運転するには大型自動二輪免許が必要です。そのため、まだ二輪免許を持っていない段階では、400ccに乗るなら普通二輪、750ccに乗るなら大型二輪まで取得するという選択になります。
なお、一般に「中型免許」と呼ばれることがありますが、二輪免許の正式な名称としては「普通自動二輪免許」です。大型バイクについては「大型自動二輪免許」となります。免許制度については警察庁の運転免許案内[参照]で最新情報を確認できます。
排気量が大きい750ccクラスは高速道路や長距離走行で余裕を感じやすい一方、一般的には車体が重く、購入価格やタイヤなどの消耗品、燃料代といった負担も大きくなりやすい傾向があります。初めてのバイクなら、排気量の数字だけではなく自分が安全に取り回せるかを優先した方がよいでしょう。
アメリカンは足つきが良くても「重さ」に注意
アメリカンバイクはシートが低いため、初心者でも足が地面につきやすい車種が多くあります。たとえばホンダのシャドウ クラシック400の公表諸元ではシート高660mmです。一方で車両重量は255kgあります。Honda シャドウ クラシック400主要諸元[参照]
ヤマハのドラッグスター400も代表的なロー&ロングのクルーザーで、2012年モデルのメーカー公表値ではシート高660mm、車両重量234kgです。ヤマハ発動機 ドラッグスター400主要仕様[参照]
つまり、400ccだから車体まで軽いとは限りません。信号待ちでは問題なくても、駐車場で後ろ向きに押す、傾斜した場所から出す、Uターンする、倒れそうになった車体を支える、といった場面では200kgを大きく超える重量を実感します。購入前にはスペック表だけを見るのではなく、販売店で実車にまたがり、可能なら取り回しも確認しておきたいところです。
シャドウ400は初心者にも検討しやすい
ホンダのシャドウ400シリーズは、低いシートとV型2気筒エンジンを組み合わせた本格的なクルーザーです。シャドウ クラシック400は存在感のあるスタイルが特徴で、ゆったり走るツーリング用途にも合わせやすい車種です。
比較的新しい世代のシャドウ クラシック400では電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)が採用されています。中古車を選ぶ場合には年式によって仕様が異なるため、価格だけでなく年式、走行距離、整備履歴、タイヤやチェーンなどの状態も確認しましょう。
弱点として意識したいのはやはり重量です。クラシック400は公表値で255kgあるため、初めてのバイクとして購入するなら足つきだけで判断せず、押し引きできるかを確かめることが大切です。
ドラッグスター400はスタイルと選択肢の豊富さが魅力
ドラッグスター400も中古アメリカンを検討するときに名前が挙がりやすいモデルです。通常のドラッグスター400と、より重厚な外観を持つドラッグスタークラシック400が存在します。
2012年モデルのメーカー公表値では通常型ドラッグスター400が234kg・シート高660mmなのに対し、ドラッグスタークラシック400は247kg・シート高710mmです。同じドラッグスター400系でも乗車感覚は同じではありません。
たとえば「見た目はクラシックが好きだけれど、初めてなので少しでも扱いやすい方がよい」という場合には、通常型ドラッグスター400も比較対象になります。逆に、大きく重厚なアメリカンらしい外観を最優先するならクラシック系が魅力的でしょう。
イントルーダークラシックも実車確認が重要
スズキのイントルーダークラシックも、国産クルーザーを探す際の代表的な候補の一つです。大柄で存在感のあるスタイルを好む人には魅力があります。
ただし、シャドウやドラッグスターと同様に中古車が中心になるため、単純な車種比較だけではなく現在購入できる個体の状態が非常に重要です。同じモデルでも保管状態や整備状況によって購入後に必要となる費用は大きく変わります。
特に初めてバイクを購入する場合は、極端に安い車両を個人売買で購入するより、納車整備や購入後の相談ができる販売店を利用する方が安心しやすいでしょう。
初めてなら400ccと750ccのどちらが向いている?
長距離ツーリングだけを考えれば、750ccクラスには魅力があります。排気量に余裕があるため、高速道路で巡航するときなどにエンジン回転を抑えやすく、追い越しや登り坂でも余裕を感じられる場合があります。
一方、初めて所有するバイクでは、走っている時間だけでなく、駐車場から出す、給油する、狭い場所で方向転換する、洗車する、といった場面も考える必要があります。大型クルーザーでは、この日常的な取り回しが初心者にとって負担になることがあります。
最初から大型バイクに乗ること自体が間違いなのではありません。教習を通じて十分に操作を身につけ、実車を問題なく扱えるのであれば750ccから始める選択肢もあります。ただし、迷っている段階なら400ccで経験を積み、その後に大型へステップアップする方法は堅実です。
長距離ツーリングなら排気量以外もチェックする
休日に長距離ツーリングをするなら、排気量だけで車種を決めないことも重要です。高速道路での風圧、乗車姿勢、シートの形状、燃料タンク容量、航続距離、積載性などが快適性に大きく影響します。
たとえば日帰りで300km走る場合、途中で雨具や飲み物を積むこともあります。泊まりのツーリングなら着替えなども必要です。サイドバッグやリアバッグを取り付けやすいかも確認しておくと、購入後の使い勝手が変わります。
また、アメリカンは上体を起こした姿勢で走れる一方、高速走行では身体に風を受け続けることがあります。必要に応じてスクリーンを追加するなど、購入後のツーリング仕様まで考えて選ぶとよいでしょう。
免許代とバイク代を合わせて100万円ならどう考える?
総予算100万円の場合、車両本体に100万円近く使うのはおすすめできません。免許取得費用だけでなく、登録諸費用、任意保険、ヘルメット、グローブ、ライディングジャケット、バイクカバー、盗難対策用品なども必要になるからです。
さらに中古車の場合は、購入直後や1年以内にタイヤ、バッテリー、ブレーキ関係、油脂類などの交換が必要になる可能性もあります。高校生など若いライダーでは任意保険料が比較的高くなることもあるため、購入前に見積もっておくことが大切です。
そのため、総予算100万円なら「免許+車両本体」だけではなく、免許+乗り出し価格+装備+保険+当面の整備費で計算しましょう。中古の400ccクラスを中心に探すと、予算に余裕を残しやすくなります。
中古アメリカンを選ぶときに確認したいポイント
シャドウ400やドラッグスター400などは生産終了モデルを含むため、中古車選びでは車種以上に個体差が重要になります。走行距離だけで良否を決めず、整備記録や消耗品の状態も確認しましょう。
- エンジンの始動性や異音
- タイヤの残り溝・ひび割れ・製造年
- ブレーキの状態
- フロントフォークからのオイル漏れ
- チェーンや駆動系の状態
- バッテリーの交換時期
- 転倒歴や大きな傷
- 過度なカスタムの有無
- 純正部品が残っているか
- 販売店の保証・納車整備内容
特に初めての一台なら、購入後に整備を依頼できる店で買うメリットは大きいです。古いバイクを安く購入して修理費が膨らむと、結果として状態の良い車両を買うより高くなる場合があります。
3車種で迷ったら「実際にまたがる」のが一番早い
シャドウ、イントルーダークラシック、ドラッグスターにはそれぞれ魅力がありますが、初心者がスペック表だけで一台に絞る必要はありません。アメリカンはハンドル位置、ステップ位置、シート形状によって体感がかなり変わります。
販売店で実車を見つけたら、両足がどの程度地面につくか、ハンドルまで自然に手が届くか、車体を起こしたときに重すぎないかを確認しましょう。可能なら複数車種を同じ日に比較すると違いが分かりやすくなります。
初めての一台では、スペック上の性能が最も高い車種よりも、自分が安心して扱えて、何度でも乗りたくなる車種を選ぶことが長く楽しむコツです。
まとめ:初めてのアメリカンは排気量より「扱いやすさ」と総予算で選ぼう
シャドウ、ドラッグスター、イントルーダークラシックはいずれもアメリカンらしいスタイルを楽しめる候補です。400ccなら普通自動二輪免許で乗ることができ、初めての一台としても検討しやすいでしょう。一方、750ccなど400ccを超える車両には大型自動二輪免許が必要です。
長距離ツーリングでは大型の余裕が魅力ですが、400ccでも高速道路を利用したツーリングは可能です。むしろ初心者の場合、車重や足つき、取り回し、車両状態、保険や整備を含めた維持費を総合的に判断することが重要です。
免許代と車両代を含めて100万円程度の予算なら、まず状態の良い400ccクラスを中心に実車を比較し、装備・保険・整備費のための予算も残しておく方法が現実的です。将来さらに余裕のある走りを求めるようになった段階で大型免許を取得し、750cc以上へステップアップするという楽しみ方もあります。


コメント